baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 強風吹き荒れる今年のインドネシア

 インドネシアでは既に2月になったというのに、今年は未だ洪水のニュースがない。雨は連日降っているのに未だ洪水が来ないと言うのは、恐らく上流の山岳部での降雨量が例年より少ないのであろう。その身代わりかどうか、オーストラリアの洪水のニュースが流れている。テレビを見ている限りでは、相当被害が出ているように見受けられる。とにかく世界中で気候が不安定、且つ荒々しくなっている。
 今年のインドネシアは強風被害が酷いと言う。これも恐らくは、日本の猛烈な寒波と豪雪の原因と言われているラ・ニーニャ現象の影響であろう。単に強風と言っても、しばしば竜巻と区別が付かぬほど強烈な突風が、驟雨と共に吹き抜ける。その為街路樹が根元から倒れたり、頭上で太い枝が折れたりして、車や屋台が下敷きになる。街路樹と言っても片側4車線ぐらいの大通りに日陰を作る大木だから、幹の直径は3mにも及ぶ。そんな木が根こそぎ倒れたり、5mも6mも張り出した枝が折れて落ちてくるのだから、下敷きになれば車とて一溜まりもない。ジャカルタでは今年は未だ死者は出ていないようだが、運が悪ければ巻き添えを食らう人は勿論死亡してしまう。だからこちらの人は、強風が吹き始めると大木の下には近寄らない。
 種類にもよるのだろうが、一般に南方の木は年輪が殆ど見当たらない。日本でも良く使われる、ラワンやチークをイメージすれば良い。勿論チーク、紫檀や黒檀、或いは鉄の木と呼ばれる屋根材として使われる木など、硬い木もあり、これらの木は大きくなるのに時間が掛かる。他方、街路樹など何処にでも見られる木はとにかくあっと言う間に太くなり、高くなり、葉を茂らせる。しかしそういう木は、吃驚する程短期間に大きくなる分柔らかくて折れやすい。以前にも書いたが、そのての木は電信柱の如く葉も枝も丸裸に刈り落とされても、3ヶ月もすれば青々と茂って道路に日陰を作る土地柄である。
 余り倒木による事故が多いので、今年はジャカルタ市では超音波検査器を使って、街路樹の強度の測定を始めたそうである。超音波検査器で脆くなった木や枝が見付かったら、強風が吹く前に切り倒すなり切り落とす作戦である。人間が犠牲になる事に日本人よりは遥かに鷹揚なインドネシアも、昨今は少しづつ近代化しているようである。聊か泥縄のきらいは免れないが、何もやらないよりは余程増しである。