baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 世界では今日もテロリストの殺戮が続く

 今回は仕事が長引いて、しかも金曜のフライトが取れずに結局週末までジャカルタで過ごす事になってしまった。ジャカルタから東京へ戻る便はJALANAもGARUDAも夜行便で、夜の10時前後に当地を出発する。従いビジネスマンには、金曜日の夕方まで目一杯仕事をして、その夜の飛行機で帰国して週末を家族と日本で過ごすのが一番効率が良い。だから金曜日の便は真っ先に満席になってしまい、僕のように直前になって変更しようとしても中々座席が取れないのである。やむを得ず僕は今晩の便で帰国する。
 ジャカルタは連日の曇天と俄か雨で、ここの処お天道様が仰げない日が続いている。お陰で涼しくて外出しても汗もかかないが、聊か赤道直下の国らしくない。今日は無聊の慰みに午後少し車で出歩いた。最近はジャカルタに来ても車が思うようにならづ不便極まりないのだが、今日は上手く車が手配出来たのである。場所により小雨がちの曇天の下を走っていた。しょっちゅう来ているのに結構物珍しく、キョロキョロしていたら直ぐ横を警官がバイクで通りかかった。白バイではなく小さなバイクで、単なる警官の移動である。並走して走っている警官を見てギョッとした。制服の上から羽織っている皮ジャンの腰の下から、ライフルの弾がはみ出してぶら下っているのが見える。弾倉だか弾帯だか分からないが、大型の銃弾が10発ぐらい連なっているようである。警官は誰でも拳銃は携行しているが、逆立ちしても拳銃の弾丸ではない。物騒な物を無用心に持ち歩くのも、ここでは極く普通なのである。
 インドネシアにはイスラム原理主義者と米国が命名した、所謂テロリストが約1,000人いると言われている。その大部分がジェマー・イスラミアと呼ばれる組織に属している。ジェマー・イスラミアは元々インドネシアで発祥し、最近はマレーシア、フィリピン、シンガポールにも組織を巡らせ、アルケイダと連携しているテロリスト集団である。国連も国際テロ組織と認定している筈である。10年程前にバリ島で202人が犠牲になった自爆テロや、その後のジャカルタの米国系ホテルの爆弾テロの実行組織である。
 このジェマー・イスラミアの幹部が一昨日フィリピンのジョロ島と言うモロ解放戦線の支配下にある小島のキャンプで殺害されたそうである。米国の軍事顧問団との共同作戦であったと言う。日本では多分新聞記事にもならないだろうが、インドネシアでは自国発祥のテロ組織の幹部が殺害されたので、当地の新聞では一面記事である。2機の航空機による爆撃で、マレーシア人の通称マルワンと言う幹部と、他に14名の武装テロリストが殺害されたと言う。フィリピン軍スポークスマンは、オサマ・ビン=ラーデン殺害以来の成果と誇ったそうである。米国はこのマルワンに、500万ドルの懸賞金を懸けていた。しかも航空機による爆撃と言う、一方的な武力行使である。米国が嫌悪される所以である。しかし陸上からはモロ解放戦線の占領地域を抜けて森林の奥深くにあるそのキャンプに行くのは困難で、テロリストの遺体は既に仲間が回収してしまったと言うから、単なる宣伝か事実かはまた藪の中になるかも知れない。
 しかし考えれば考えるほど、米国は気の毒な事である。気の休まる時があるまい。一般の米国民も、何時自分がターゲットにされるか分からない。ましてや米国籍の航空機は危なくて仕方がない。イラクで、アフガニスタンで、対テロ戦争を仕掛け、今またイランでも緊張が高まっている。一方でテロリストのターゲットには常に米国が上位にランクされる。米国が、米政界が、一刻も早くユダヤ社会の呪縛と桎梏から解き放たれて、イスラエル一辺倒の偏った政策を見直し、イスラム社会と共存共栄するしか安穏の道はない。せめてイスラエルの国境を1968年国連決議の国境線まで後退させて、その領土拡大の野望と蛮虐行為を捨てさせ、パレスチナに平和を樹立する事が米国に静溢な日常を取り戻す唯一の路である。イスラム社会は、米国が公平なら必ずや共存共栄を受け容れる。