baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 品質と品質管理

 先週末にちょっとした商売上の品質トラブルがあり、今日は朝の7時半過ぎから中京地区にある先方の会社を訪問して何とか大事にならぬ様に話をして来た。どんなに気を付けていても、やはりちょっとした油断で大きなトラブルになってしまう。僕自身が物を作っている訳ではないのだが、こういう事があるにつけ品質管理の難しさを痛感する。最近は新興国の製品や、増してや韓台の製品は、その品質向上が目覚ましい。しかし品質の向上と、その品質を安定させる品質管理とには似て非なる物がある。日本製品の品質には定評があるが、実は品質管理がしっかりしていて品質にバラツキが無いのが日本製品の強みなのである。外車に乗っている人なら分かると思うが、例え欧州製であっても一般に外車と日本車の故障の頻度は比較にならない。今日は品質管理の重要さと難しさに思いを致し、品質管理が製品の競争力の一端を担っている事を改めて噛み締めた一日であった。
 インドネシアでも製品の品質は目覚ましく向上している。デザインも中々垢抜けた物が出始めているが、何よりも品質の向上が顕著である。例えば卑近な例では、ペットボトルの蓋である。彼の地では蛇口の水を飲む習慣が僕にはないから、必ずミネラル・ウォーターを使うのだが、少し前まではボトルの蓋が3本か4本に一本は固くて上手く開かなかった。しかもボトルのPETが薄いのか柔らかいのか、開かない蓋を無理やり捻じ開けようとすると、ボトルが潰れて中の水が蓋の隙間から水鉄砲みたいに漏れ出してくるので厄介なのである。ミネラル・ウォーターなら未だ良いが、清涼飲料の類になるとベトベトの色付き液体だから始末が悪い。それがこの半年ぐらいで急にすっかり改良された。今では日本と同様、蓋を開けるのに苦労する事はない。
 例えば剃刀の替刃である。僕は何時もドイツのメーカーのインドネシア産の替刃を使っている。ステンレス製の二重刃がプラスチックのカートリッジに納まっている、極く普通の剃刀である。これが、昔は非常に長持ちした。1週間使っても2週間使っても、一向に切れ味が衰えない。3週間ぐらい使うとやっと切れ味が鈍くなってきて、やおら交換する事になる。日本で買えば4〜5日も使えば切れなくなる代物である。だから昔は僕は何時もインドネシア製を使っていた。値段は日本で買うものの4分の一、寿命は4倍だったのである。ところがこの頃はインドネシア製も1週間も使うと寿命になってしまう。最初の切れ味は素晴らしいのだが、あっと言う間に切れなくなってしまう。日本製と同じである。これは売り上げを伸ばすために、最初の切れ味を損なわぬまま寿命を短くする焼き入れ技術をインドネシアも習得したに違いないと思っている。その上、余計な事に値段も日本製の6割ぐらいまで上がって来た。
 剃刀などは余り技術が進まぬほうが良いのだが、一般にインドネシア製品の質は間違いなく上がって来ている。大いに結構な事である。しかし全般的には、未だ未だちょっとした処で酷くがっかりさせられる。例えば縫製品の糸端の処理の不手際とか、スプレーを使い終わった後から中身が少量漏れて来るとか、数え上げればキリがない。これからは、単に品質の向上のみならず、品質管理にも一層の努力を重ねて欲しいものである。