baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 鰻の不漁

 今朝は雪が積もっていて、朝外に出たら辺り一面が白くてびっくりした。昼間は風が強くて、今日も随分と寒かった。梅も桜も今年は例年よりは大分遅れそうである。毎年賑やかな隣家の桜も、今年は未だ芽も吹いていない。それでも陽射しはすっかり春めいて来て、日も延びて来た。寒いながらも春の足音がそろそろ聞えて来そうなこの頃である。
 ウナギのシラスがいよいよ不漁らしい。この冬はキロ当たり200万円だとか300万円だとかに高騰していると言う。フィリピン沖の僅かな海域で生まれる日本鰻の稚魚は、台湾や中国が対日輸出用に養殖を始めてから、それらの国の沿岸を通って日本に辿り着くまでに乱獲されてしまい、急激に獲れなくなってしまった。最近になりやっと日本の大学研究室が、日本鰻の産卵域を特定し、卵も世界で初めて採取に成功した。しかし、ウナギの卵の孵化能力は数時間しかないと言うから、完全な養殖には未だ未だ時間が掛りそうである。そもそもウナギは雌雄両性で、何らかの条件で雄になったり雌になったりする不思議な魚だと聞いたが、その条件はまだ十分には解明されていないそうだから尚の事卵からの養殖は難しかろう。しかも旨い蒲焼には日本鰻しか使えない。
 インドネシアの南側のインド洋や、フィリピンに近いスラウェシ島の内陸にはウナギが生息していて、勿論シラスも獲れる。日本のウナギとは種類が違うので、シラスで日本に持って来ても需要はないのだが、現地で養殖して大きくして、背開らきにしてパックにすればスーパーの安物としての需要はあると言う。日本の大手商社も実験的に養殖に手を出している。僕も一度は真剣に投資を考えたが、やはり病気が怖いし、何よりもシラスが取れなくなればそれまでなので僕の実力にはリスクが大き過ぎると断念した。しかし、今年のシラスの高値を聞くと、勇気を出してやっておけば良かったかな、などと思う。
 僕は鰻が大好物である。鰻ばかりは家では食べずに専門店に食べに行く。今までも決して気軽な食べ物ではなかったから、何かの折に意を決して出掛けたものであるが、これからは滅多な事では口に入らなくなるのかも知れない。一杯何万円もするカニも久しく口にはしていないが、実はそれ程好物でもないのでカニは口に入らずとも別段淋しくはない。しかし鰻が食べられなくなるのは困る。そうなる前に、完全養殖の技術を確立し、実用化して欲しいと切望するのである。