baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 映画「はやぶさ」

 今日から急遽インドネシア出張となった。今年既に三度目のジャカルタ行きである。成田に行くリムジンバスから、初めて東京ベイブリッジを遠望した。高速湾岸線からかなり離れているのと、高速沿いに事務所や倉庫の大きなビルが並んでいるので、建物の間から垣間見える程度である。今までも目にした事があるような景色だが、東京ベイブリッジと意識して見るのは今日が初めてであった。恐竜が向き合っている、などと言われているが、そのこじつけには幾らなんでも少し無理があるように思われた。精々、蛇が二匹、鎌首を持ち上げて睨み合っている、と言うぐらいなら文句は言うまい。
 飛行機の中では映画「はやぶさ」を観た。観たと言っても、お酒を飲みながら、半分ウツラウツラしながらだからそれほどしっかり観た訳ではない。だから筋もロクに覚えていないが、度重なる絶望的な危機をJAXAの人々の粘りと工夫で奇跡的に克服し、最終的には世界で初めて月以外の天体から物質を持ち帰ると言う劇的な任務を達成した話は、新聞やテレビでもう何度も目にしている。だから別に筋を追う必要はない。
 それでも、最後の大気圏突入のシーンは、ニュースやドキュメンタリーなどで既に何度も観てきているが、ここだけは何度観ても圧巻である。身を焼き焦がし、自らは生還する事無く、カプセルだけを無事に地上に送って任務を全うする「はやぶさ」が、擬人化されて何とも日本人の心を打つのである。これが、もし「はやぶさ」も燃え尽きずにカプセル共々無事に着地していたら、これ程の感動は与えなかったであろう。そこにあるのは、己を捨てて任務を全うすると言う、恐らく外国人には全く理解出来ない、日本人独特の美学なのである。そして、その感動は「はやぶさ」を擬人化し、「はやぶさ」に感情移入しないと説明が付かないのである。それは、ただの金属の塊の器械に感情移入すると言う何とも不可解な国民性なのだが、かく言う僕もやっぱり日本人なのであった。