原油高

　今度は原油高である。イラン産原油が経済制裁で輸出出来なくなると言うのが表向きの理由であるが、実際には原油の需給がタイトになると見た投機資金が流入している為である。原油先物は今週一週間で6.3%も値上がりしたそうである。日本では、とんでもない円高が多少なりとも是正され始めたところなので、原油価格について言えばダブルパンチとなる。
　昨年は綿花が狙い撃ちされて、半年で3倍にまで値段が跳ね上がり、それがあっと言う間に半値に下がったものだから一般の紡績屋は軒並み大打撃を蒙った。世界的な金融緩和でダブ付いた資金の行き場がなくなり、投機資金が商品相場へ流れ込むお陰である。投機資金は、儲かれば違法でない限りは何をしても良いと言うモラルの欠片もない資金である。しかも法外な資金力を持っている。こういう悪質な資金の、実需を伴わない投機の対象にされれば実際にその商品を生業の礎にしている人達にとってはたまったものではない。
　市場主義経済を根本から悪いとは思わないが、商品市場については実需を伴わない投機資金については何らかの歯止めを掛けねばならない、と言うのが以前からの僕の主張である。どういう歯止めが良いのかと言う具体的な対案がないのでゴマメの歯軋りなのだが、一握りのモラルのない貪欲な人種の操る膨大な資金の為に、世界中の大多数の人間が不安定な生活を強いられるシステムは早急に改善しなければならないと思う。