baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 インドネシアのバースデープレゼント

 昨日トトロのシュークリームの事を書いたら、随分とコメントを頂いた。トトロのシュークリームが載ると、何時も反響が大きい。やはり宮崎駿アニメの人気は凄いと毎回実感する。僕のブログのリンクは、キーワードで勝手に貼られているリンクではなく、僕が自分で貼っているリンクだから、リンクが貼ってあれば何かしら僕の意図が働いている。もし興味があればリンクを辿って頂ければ、関連記事に辿り着く。もっとも殆どがアーカイヴスに連れて行かれる事になるので、余程お暇なご仁でなければご注意されるに越した事はない。
 ホワイトデーに、事務所に沢山お菓子を持ち込んだ事を想い出し、インドネシアのバースデ―プレゼントの事を連想して思い出した。バースデープレゼントと言えば、普通は周りの人が「お誕生日おめでとう」と言ってプレゼントをくれるものである。ところがインドネシアでは、お誕生日を迎えた人が周囲の人にケーキを配るのが習慣である。長生き出来て有り難い、みなさんのお陰です、と言う事なのだそうである。そう言われてみれば、日本でも還暦や古希には、還暦や古希を迎えた人が周囲にお祝いを配る風習がある。あれと同じ心理なのであろう。
 自分の誕生日など、こちらは忘れていても事務所に出ると朝一番に秘書が「ハッピーバースデー」と握手に来る。それを合図に次から次へとスタッフがお誕生日のお祝いにやって来る。そうか、今日は僕の誕生日であったかと泡を食う。そこで仕事の時間の合間を縫って、あたふたと買い物に出掛ける。ケーキを山ほど買って事務所中に配らなければならないのだ。お茶汲みボーイや運転手まで入れると、僕がいた頃はインドネシア人だけで150人近い大所帯であった。こういう時は勿論日本人駐在員は無視である。むこうも挨拶に来る訳ではなし、おやつにケーキを配られてもそれ程喜ぶ連中ではない。こちらもお義理で余計なお金は遣いたくない。それでも150人になんなんとするスタッフ一人一人に配るとなれば、とても一つ一つのケーキは買えないから大きなケーキを幾つか買って後は適当に分けて貰う事にするしかない。金額もさることながら、到底持って帰れないからである。
 インドネシア人スタッフはみんな、僕のバースデーケーキは高級ホテルのパティセリーのケーキだと知っている。昨今はどうだか知らないが、高級ホテルのケーキは10年前までは、到底現地の人が小遣いで買う様な代物ではなかった。だから、乗り遅れまいと皆が朝から握手に来る。そこでこちらは大きなケーキを7つか8つ買う事になる。大きな袋に3〜4箱づつ入れて貰って持ち帰る。そしてそっと秘書に手渡して、やっと責任が果たせる事になる。ところがそれから夕方にかけて、また皆が一人一人、ケーキを有難うと握手にやってくる。そして「長生きして下さい」と声を掛けて帰って行く。インドネシアにいると厭でも、自分の誕生日は恐ろしく派手な事になるのであった。それでも、日頃口に入らない様な高級ケーキを皆が嬉しそうに食べてくれるのを見れば、こちらの寿命も延びようというものであった。