baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 金沢から戻って

 昨日から仕事で金沢に行っていた。金沢に行けば必ず、香林坊か片町かその近くで深更まで飲む事になる。だからホテルのチェクインは何時も寝惚け眼のフロントをたたき起こしての事となる。昨晩も例外ではなく、チェックインはもう朝の3時近かった。
 二日酔いの頭を振り々々眼を覚ませば、金沢の今朝は未だ大降りの雨であった。土曜日なので今日は金沢でゆっくり見物などして、夕方帰京しようと思っていたのだが、幾ら何でも大降りの雨の中を観光する程の酔狂ではない。それでホテルの表玄関からU−ターンして一旦ロビーに戻り、地下経由でJR金沢駅へ向かった。今迄一度も下りた事のない金沢駅前の地下は、広大な広場になっていた。土曜日の朝の10時過ぎにその広大な、しかも色タイルなどが貼られたホテルのロビーの様な趣の地下広場には、殆ど人が歩いていない。見掛ける人は一人二人なのである。新宿や八重洲、或いは名古屋の地下街を見慣れた僕には、驚きを越えて不気味でさえあった。土曜日の昼前に、中心街の駅の地下で視界に入る人が1人2人というのは東京では信じ難い光景である。金沢ですら過疎なのかも知れない。
 その地下広場を突っ切り、途中に踊り場の如く水平部分があるエスカレーターを上がり、ドーム球場の様な天井を眺めながら駅へ上がれば、雑踏とは程遠いまでもまだ人が群れていてほっとさせてくれる。今日は、帰りは汽車で帰ると決めていたので、金沢駅で切符を買った。緑の窓口の前は整然と列が出来ている。切符売り場のカウンターには窓口が5つ程出来ていた。そのどれかが空けば、列の先頭の人はそのカウンターに行く訳である。ところが整然と列を作っている人達は、「お次の方どうぞ」と呼ばれるまではじっとしているのである。東京なら後ろからどつかれそうな話なのだが、これも加賀百万石の城下町ならではなのか、或いは過疎のなせる技なのか。
 切符を受け取ったら未だ1時間も時間がある。仕方がないのでレストランでモーニングセットを頼んで時間を潰し、ようやく車内の客となった。金沢を発った汽車は一路富山、新潟へ向かう。東京の人間としては、何だか逆向きに走っているような錯覚に陥る。金沢から高岡ぐらいまではずっと雨だったのだが、富山ではもう青空になって陽も照っていた。ところが富山を過ぎたらまた雨が降り始め、直江津辺りまでは愚図々々天気だった。それが直江津を過ぎて信越本線に入ったら、今度は急に晴天である。一面の雪景色に陽が映えて、眩しい事この上ない。その雪も半端ではない。場所によっては4mも5mも積もっている。今年の雪国はさぞ大変だったであろうと一入実感したものである。
 越後湯沢で新幹線に乗り換え、東京まで一時間強、道中はずっと青空であった。ところが東京駅から西に20〜30km程の我が家に帰ってみれば、つい先程まで雨だったらしい。道路は濡れているし青空駐車の自動車などは文字通りびしょ濡れである。何とも出入りの激しい天気であったようである。しかも明日はまた真冬に逆戻りだと予報が言っている。今年は何時になったら気候が落ち着くのであろうか。