baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 金環日食

 今日の金環日食を見ようと、急いでジャカルタから帰って来た。カメラ用のフィルターも準備してある。ただ、昨日は天気が悪くてこのフィルターを付けた試し撮りや、カメラの設定の予行演習は出来なかったので今朝はぶっつけ本番である。
 朝、6時に眼を覚まし外を見たが、既に陽は昇っているのに曇っていて太陽が見えない。厚い厚い雲が出ている。何たる不運と運命を呪っていたら、7時前に少し薄日が射し始めた。黒いプラスチックシートを翳して眺め見れば、日食が右側から始まっているのが雲を透かして見えるではないか。神は見捨てなかったのである。
 それで慌ててカメラを準備して写真を撮ったり、はたまた肉眼で見たり、雲が厚くなったり薄くなったりするが、何とか金環日食までは見ることが出来た。ただ金環食の後半の頃から雲が厚くなって、ついには何も見えなくなってしまった。だから世紀の天体ショーの半分か三分の一が見られたに過ぎないのだが、一生に一度の事だから大満足であった。太陽が一番欠けた頃、突然そこら中のカラスが一度に騒ぎ出し、闇雲に飛び回り、何やら異変を感じてパニックになったかの様であった。
 後から見ると写真はどれもさっぱりで、イメージ通りに撮れているものは一枚もない。どうして皆あんなに綺麗な写真が撮れるのかが訝しい。何とも癪に障る。そこで一旦は、写真は今日はテレビにも新聞にも氾濫しているし、誰もが似たような写真を撮っているだろうから失敗作など載せまいと思った。しかし、失敗もまた思い出と思い直して、中では増しなのを少し載せることにした。



 肉眼で見るとテレビや新聞の写真の様にもっとシャープに見えるのに、僕の写真はどうしてこうボケてしまっているのだろう。それに、一番下の写真などは何だか魚の目玉みたいで少し不気味である。
 それでも、一応前もって出張前に準備したフィルターのホルダーとアダプターと黒いプラスチックシートの出番があったから、良しとしよう。そして、僕は生まれて初めて金環日食を見ることが出来たのだから、幸運だったと言えるのであろう。