baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 オスプレイの普天間配備

 沖縄に24機配備される予定の米軍の最新型輸送機「オスプレイ」が今度は米本土の米軍基地で墜落したと言う。元々墜落事故が多く、安全性に疑問が持たれている機種である。それが世界で一番危険と言われている普天間基地に配備される計画だから、日頃は在日米軍に寛容なこの僕でも、流石にこの計画は一時見合わせた方が良いと思う。
 海兵隊は戦争が起きれば真っ先に敵の近くに橋頭堡を作るとか、或いは戦闘地域に深く侵入して、点を確保するのが基本的な使命である。だから常に前線に配備されるし、輸送はヘリコプターに頼る。何故なら飛行場があるとは限らない場所が作戦地域になる事が多いからである。しかしヘリコプターは巡航速度は遅く、航続距離は短く、積載能力は小さい航空機であるから、オスプレーの様な輸送機があれば極めて有効な輸送手段となるのは当然である。
 しかしオスプレーの写真を見ると、素人目にも何とも危なっかしい。垂直離着陸機と言えばイギリスで生まれ、その後マクドネル・ダグラスが引き継いだハリアーが有名である。フォークランド戦争で実戦に投入され、一躍有名になった。しかしハリアーも操縦が極めて複雑で、姿勢制御の為に同時に何十ものボタン操作を必要とし、量産が始まった1970年当初は訓練飛行時に頻繁に事故を起こしたと言う。何かのアクション映画でビルの窓の外でハリアーがホーバリングするシーンがあったが、実際にはあれ程長時間ホーバリングするとエンジンが過熱してしまうので、ハリアーでもああいう芸当は本当は出来ない。そもそもハリアージェット機ながらエンジン冷却水を積んでいる希有のジェット機なのである。
 そのハリアーに比べても、オスプレーは何だか頼りない。ハリアージェットエンジンの噴射ノズルの向きを変えて垂直離着陸から水平飛行に移行するが、オスプレーは両翼にある双発のローターを90度回転させて垂直離着陸と水平飛行を両立させる。しかし幾らコンピューターが発達したとは言え、見るからにその姿勢制御は困難を極めると推測される。特にローター角度が45度位の時の揚力と推力のバランスは、誰が考えても微妙に違いない。航空機の事故は一般に離着陸時に集中すると言われるが、オスプレーは特にその傾向が顕著であろう。と言う事は、事故は基地内とその周辺に集中すると言う事になる。
 オスプレイが配備されている航空団の司令官が記者会見で、機体の基本設計に欠陥はないと言ったようであるが、まだ事故調査が始まったばかりであるから基本設計の欠陥はともかく、墜落原因の究明は待つしかない。しかし仮に機体には欠陥がなく操縦ミスであったとしても、ハリアーの当初の訓練期間中に多発した事故同様、操縦が困難極まりないものである可能性がある。そして操縦が余りにも難しいのであれば、機体に欠陥があろうとなかろうと事故が多発する事になる。兵器は一般に使用する兵士の安全配慮には欠けている。しかし航空機が事故を起こせば、ましてや市街地の真ん中で学校などが隣接している普天間基地であれば尚のこと、市民や学童に犠牲者が出てしまう。どうも現段階ではオスプレーは、普天間に限らず基地と住宅地が接近している日本に配備する事は適当ではない様に思える。