baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

　日常に戻って

ひねもすのたり

　昨日の朝、予定通り成田に戻った。昨日、今日と何と日本の暑いことか。バリの涼風が懐かしい。たまに短期間だけ行くから快適だという事は実は良く分かっているのだが、それでもこれからもっと暑くなるのかと思うと、やはり一思いにバリに引っ越したくなる。
　成田からのリムジンに乗るとこの頃何時も思うのだが、交通量が目に見えて減っている。月曜日の、しかもジャカルタ帰りの朝は何時も成田発が7時台のバスだから、千葉から東京に入る混雑地帯を一番混む8時台に通過すると言うのに、昨日もご多分に漏れず大した渋滞には遭わなかった。この半年程は何時も渋滞が拍子抜けの体なのである。ガソリンが上がると渋滞は緩和されるけれど、今はガソリン代もむしろ値下がり傾向でガソリン代が理由とは思えない。やはり日銀や政府の脳天気な発表とは裏腹に、国内の物流が明らかに減っているとしか思えない。国内は実は相当な不景気で、加えて国内の産業空洞化が目に見える処まで進んでおり、未曾有の円高に何時までも無策な希代の無能政権がその空洞化に拍車を掛けている、と言う事なのであろう。こういう現実を目の当たりにすると、厭でも絶望的な危機感を感じてしまう。政府がもっと具体的な景気浮揚策を色々と打ち出さないと日本の失業問題は更に深刻化する訳だが、大部分の議員が次の総選挙しか頭にない民主党の政権には願うべくもない。
　朝の東関道で不思議な物を見た。陸上自衛隊の二連装ミサイルランチャーを装備した大型トラックが4台も走って来た。自衛隊の隊員輸送車は時々見かけるが、装備を目にする事は東京では珍しい。面白い事に4台は隊列を作らずに、互いに500mから1kmぐらいの距離を置いてバラバラに走っている。目的は判らないが、自然にそうなったと言うよりはどうも意識的にそうしているように思えた。
　不思議なのはそれだけではなく、トラックを警備する部隊が全く付いておらず、トラックだけが単独で走っているのである。テロリストや不穏な輩にハイジャックされる危険は全く考えていないらしい。そう思って見ていたら、1km位後方から隊員輸送車が1台やってきた。やっぱり一応警備はしているのだなと思って、すれ違いざまに幌の中を見たら空であった。警備部隊が乗っていた訳ではなかったのである。更にその1kmぐらい後方から、司令官が乗っていると思われるジープがこれも単独で走っていた。何とも暢気で平和で、想定外の事故に無防備な日本である。
　僕の留守中に起きた事件と言えば、小沢一郎一派の民主党離党ぐらいである。もとより僕の出発前から分かっていた事であるが、輿石東が与党の責任も体面もかなぐり捨てて党の分裂阻止に走っていたので、実際の分裂が遅れていただけである。輿石東は参院議長になりたい一心で参院の民主党員を一人でも多く抱えておきたいだけであって、他には何ら政治的な目的がないのは明白である。そもそも今や公然と政策を異にし、法案採決の賛成票にもカウント出来ない議員、党としての統一行動を乱す議員ばかりを、無理矢理党員にしておいて何のメリットがあると言うのであろう。実に志の低い、つまらない男である。
　結局党の分裂は阻止出来なかったが、それでも尚、鳩山由起夫を筆頭とする造反議員に民主党執行部は酷く甘い処分である。国民に人気のない消費増税法案に、与党々員でありながら公然と反対し、地元に帰って選挙民に良い顔をしている議員達である。野党にありながら、民主党との三党合意を尊重して賛成票を投じた自公議員にしてみればこんな馬鹿な話はない。自分たちは不評を覚悟の上で野田政権を支えたのに反し、党代表である野田佳彦が政治生命を賭けた重要法案に与党議員が公然と反対し、地元民に媚びを売って得意気なのである。鳩山由紀夫に至っては、野田佳彦を公然と愚弄し、離党した小沢一郎とこれからも連絡を取り合うと公言して憚らない。そんな党員にあるまじき議員が3ヶ月経てばまた民主党員として戻ってくる。他の議員はもっと処分が軽い。野田民主党は輿石東すら抑える事が出来ず、獅子身中の虫を敢えて養う道を選んだのである。
　もう民主党はまともな政党ではなくなった。与党を担う能力も倫理観も団結力も、その全てを失っている。政策の内容はさておいて、野田佳彦が少しもブレずに政策を実行しようとするその心意気を僕は評価するのだが、しかしその野田もお膝元の民主党を代表としてまともに統率出来ぬようではもう御名御璽である。折角三党合意まで漕ぎ着け衆院を通過させた税・社会保障一体改革案ではあるが、自公はもう参院での通過は止めて徹底的に衆院早期解散に追い込むべきである。今の流れなら次の衆院選では自公連立に、場合によっては民主の一部が参加する大連立かも知れないが、戻る事はほぼ間違いないから、それから改めて税・社会保障一体改革案を再上程すれば良い。それでもそれ程の時間的ロスにはなるまい。これ以上民主党政権の延命に手を貸すのは、日本の為にならない。