baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 大相撲

 今場所は大相撲が面白い。などと言う資格は実はなくて、今場所は中々相撲の時間にテレビの前におれず、夜中のNHKのダイジェストを見たり、時々は新聞しかみていないのだが、それでも取り組みが充実していると言う実感はある。その証拠に「物言い」の付く熱戦が今場所は特に多い。最後まで勝負を諦めない熱戦が多いからであろう。
 そして元気の良い力士が目立つ。先ず何と言ってもその筆頭は旭天鵬である。夏場所に37歳で初優勝して、先場所は確か13日目までタドンが並んでしまったが、今場所はまた絶好調である。場所中に38歳になったが、そんな歳は微塵も感じさせない、力強い取り組みが続く。昨日は大関鶴竜に惜しくも破れてしまったが、未だ1敗を守っている。同じく平幕の隠岐の海も、今場所は特に相撲内容が良い。今日は日馬富士に惜敗であったが、今日の相撲は隠岐の海の相撲であった。稀勢の里の後馬として期待される日本人力士だから、もっともっと頑張ってほしい。新関脇の妙技龍も強いし、相撲内容が良い。何よりも相撲内容が、ケレン味がなくて実に清々しい。早くも大関候補の筆頭と目されている。
 他にも、星はそれほどではないが今場所は相撲内容が良く、健闘している力士に豊真将がいる。この力士は本当に礼儀正しく、礼をしているのだか何だか分からない力士が多い中で、この人の所作は実に美しいので僕は贔屓にしている。相撲もバカが付くほど正直である。外人が多い中で、正に日本の伝統を一人で背負って立ってくれている様な力士である。そう言えば十両に陥落して久しい高見盛が、今日勝ち越したようである。高見盛の雄叫びと、気合を入れる姿が少しでも長く見られるに越したことはない。この力士も絶対に待ったも変化もしない、バカ正直力士である。
 一人全勝を続ける日馬富士は、この勢いであれば来場所は横綱であろうが、僕はこの力士は相撲が雑で好きになれない。取り組みに、朝青龍に通ずる乱暴さを感じてしまう。その最たる取り組みが、例えば今場所の高安戦である。天下の大関が平幕を張り倒し、脳震盪を起こさせると言うのは実に怪しからんのである。一昔前であれば、非難されてしかるべき取り口である。上位の者は下位の者には堂々と胸を出して相撲を取るのが古来の原則であり、張り倒すなどと言うのはもっての外のコンコンチキなのである。昔板井が横綱大乃国を張り倒した事があったが、日馬富士の張り手はそれを髣髴とさせる凄まじいもので、当たった瞬間に高安の膝がガクッと抜けてしまっていた。最近こそ見られなくなったが、以前はダメ押しでも朝青龍並みであった日馬富士は、斯様に相撲の品格が低い。横綱になったら、親方には改めて相撲の品格をしっかり教育し、白鳳の様な立派な横綱にして欲しい。同門には安美錦などの立派な力士もいるのだから、自分もその気になって是非横綱に相応しい美しい相撲を学んで欲しいものである。
 その白鳳は相変わらず相撲は綺麗だが、明らかに力は落ちてきている。序盤戦では相撲に以前ほどのキレがなく、長引く取り組みが見受けられた。元々この横綱は場所を勤めている間に調子を上げてくるタイプなので、毎場所序盤戦はそういう事が多くそれ程心配はしていた訳ではないが、しかしここ1年程は力の衰えは隠せなくなったと感じていた。それが残念ではあるが、昨日の栃煌山戦を見れば流石にもう峠は越えたと言わざるを得ない。あんな落ち方は以前には絶対しない、横綱らしからぬ負け方だった。それでも今日は盤石の相撲で、史上最速で何かの勝利記録を更新したと言う。優勝争いでは、是非先場所千秋楽の屈辱を晴らして、久しぶりの賜杯を抱いて欲しいものである。