baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 週末のインドネシア

 考えたら日本は明日まで休みの三連休、何だか損をした心持ちである。出張に出る時には三連休の事は忘れていたから、仕事のタイミングの事だけ考えて出て来てしまった。失敗した。
 土曜日の夜のジャカルタは、昔はそれ程道は混んでいなかったのだが、昨日は酷い混雑であった。最近は土日をジャカルタで過ごす事がなかったので知らなかったのだが、訊けば昨今は土曜日の夜の混雑は何時もの事だと言う。日頃通勤には車は使わないが実は家には車を持っていて、週末になると家族を乗せて家族サービスに繰り出すサラリーマンが激増しているらしい。しかも、僕が駐在していた頃の週末の繁華街であった南ジャカルタとは異なり、超大型モールが林立する中心部へ向かう車の混雑が酷い。人気スポットが変わるのは何処も一緒だが、中産階級が本当に増えたのだと実感する。お陰で僕のホテルの前の道は駐車場の如く、車の流れが暫く止まってしまった。
 僕は以前仲間に連れて行って貰ったイタリア料理店に行こうと、ホテルからタクシーに乗ったが場所が良く分からない。考えたら以前は近くのホテルから徒歩で行ったので、タクシーで遠目で捜しても場所が定かでない。諦めて大きなモールに入って、適当に手近なレストランに入った。ファミリーレストランのレベルである。それでも適当に注文してビールを一杯頼んだら2000円程であった。インドネシアの感覚で言えば決して安くはない。ところが見回せば、インドネシア人ばかりである。未だ給料日からそれほど間はないし、週末だから奮発したのかも知れないが、それにしても明らかに生活水準が大幅に上がっている。すくなくともこういう場所に自前で来られる層が確実に増えている。結構な事ではある。しかし給与の値上げプレッシャーは、益々強まる事であろう。
 テレビでは、汚職撲滅委員会(KPK)と警察の喧嘩のニュースばかりである。事の発端は警察の汚職である。何時頃の事か知らないが、インドネシアでは今は自動車の運転免許を取得するのに運転シュミレーターのテストが義務付けられているらしい。僕の時はそんな物はなかったから、ここ数年の話であろう。このシュミレーターの購入に際して莫大な裏金が警察幹部に流れた疑惑が浮上していると言う。毎度の事だから、その事自体は驚くにはあたらない。むしろ汚職無しでは高価な装置が売れる筈はない国である。
 そこでKPKが捜査を開始した。KPKは大統領肝煎りの独立組織で、独自の捜査権限を持つ。警察幹部に出頭を求め、事情聴取をした。そうしたら、警察が昨日の早朝に、警察からKPKに出向している捜査員の自宅を急襲して、別件で拘束してしまった。この捜査員が本疑惑の中心的捜査員であったので、激怒したKPK側はその捜査員を即刻釈放すべきと抗議している。一方の警察は、更に別のKPK職員を逮捕するなど、事件の揉み消しに必死である。国民は勿論KPKを支持して、今日はジャカルタでKPK支持のデモまであった。
 本件ではKPKも硬化しているから、今後の展開次第では相当な大物が網に掛かるかもしれない。尻尾がどこまで遡るか、興味津々ではある。しかし余り遡り過ぎると少々具合の悪い事になりかねないので、そこは何れにしてもインドネシア流の程々が一番良いのである。とにかくテレビを付ければ、どのチャンネルを回してもこの話題で賑やかである。インドネシアに限らず、発展途上国汚職は文化だから撲滅には優に100年は掛かると言うのが僕の持論である事は古い読者ならご存知だが、それにしても千年一日の如く、相も変わらず汚職で揺れるインドネシアである。