baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 見直した日本人

 今日は午後、都内にちょっと用があったので昼過ぎにバイクで出掛けた。スウェット一枚で走り出したら、随分と寒い。せめて下にT-シャツでも着て来れば良かったと後悔したが、今さら戻るのも面倒と我慢する事にした。しかも、慣れない事をすると新しい発見があるもので、スウェットは裾がヒラヒラして背中に風がまともに当たり、寒さが身に染みるのである。更に悪い事に、幾らもしないうちに霧雨が降りだした。それでも何とか目的地に着いて、屋内に入った。3時間ほどして外を見たら、その後本降りになっていたらしい、周囲はビショビショに濡れて水溜りが沢山出来ている。幸い雨は小降りになっていたが、そのまま夕方までいると一層気温が下がるだろうし、また雨が本降りになっても困るので予定を切り上げて途中で帰って来てしまった。天気予報では雨らしい雨とは言っていなかったので雨具も持っておらず、帰りは気温が一層下がって寒かった。30−40分の距離なので何とか我慢できたが、昔T-シャツ一枚で12℃の外気の中を走る羽目になって、凍死するんじゃないかと思った時以来の寒さだった。
 用と言うのはセミナー参加である。セミナーと言っても、要は講演会である。講師が米国人なので、会場には外国人が溢れていた。その外国人の行儀の悪いこと、とにかくじっとしていられない、静かにしていられない、黙っていられないのである。動きたいときにはガサゴソと体を動かすし、用があれば時には歩き回る。ペットボトルをポコポコいわせながら水を飲む。隣の人に小声とは言え平気で口を開く。外国人と言っても色々なレベルや育ちの人がいるだろうし、国によっても相違はあるだろうから一括りにするのは乱暴だし、皆が皆と言う訳ではないのだが、それにしても日本人とは格段の相違がある。日本人は皆大人しく、じっと座って講演を聞いている。
 僕は日頃、コンサートや展覧会などで、自分が殻に閉じこもって没頭している時に周囲で無神経な話し声や雑音がすると酷く苛立だってしまう。勿論周囲は日本人である。少し我儘なのかも知れないが、コンサート終了直後に大声で批評する声にも内心我慢がならない。皆が皆同じ感想を持つ訳ではないのだから、そんな素人評は黙って胸に収めておけ、未だ余韻に浸っている他人の邪魔をするなと言いたくなるのだ。だから僕は余程気心が知れた人とでない限り、こういう催しには一人で行く。そして毎度の事ながら、どうしてこうも無神経な人間が多いのかと訝しくなる。元より覚悟の上の事なのだが、それでも毎回フラストレーションを感じてしまうのである。
 しかし今日の会場の猥雑さと無神経さ、騒々しさ、彼等にしてみれば個を大切にしているのだろうが、に比べれば日本人は未だ格段に洗練されていると思い直したものである。彼らの我慢のなさは幼児並みである。しかし、この違いが人前で積極的に発言するか引っ込んでしまうか、いざと言う時に馬鹿力が出せるか緊張で本領が発揮できないか、の違いなのかも知れないとも思う。公共の場でのマナーと言うのは、結局は周囲に気を遣うと言う事だから、周囲の目が気になり引っ込み思案になる、緊張してしまう、と言う事に繋がるのかも知れない。しかし、それなら僕は周囲に気を遣う方を優先して欲しい。今日は、やはり日本人は素晴らしいと、少し誇らしかった。