baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 日本のサーヴィス

 インドネシアから友人が遊びに来ている。今日は彼の買い物に付き合って、久しぶりにデパートへ行った。より愚直に表現すれば、今でも僕は時々デパートには行くので久しぶりと言うのは正確ではないのだが、日頃の僕のデパート行きは買う物が決まっていて、真っ直ぐ売り場に行って真っ直ぐ帰ってくる。ところが今日はブラブラと、当てもなく欲しい物があると買うと言うデパート行きで、そういうデパート歩きは久しくしていなかった。
 インドネシアでは客は店員を使用人の如くこき使うし、散々あれこれさせた挙句に何も買わずに平気で店を後にする。一方、店員も売り上げが伸びようが伸びまいが給料には関係ないので、客に何か言われれば嫌な顔もせずに言われた事はしてくれるが、売り上げを伸ばそうと言う意識は極めて薄弱である。だから客が展示品を物色していても声を掛けられなければ仲間内でお喋りしていたり、サイズが揃っていなくても頼まない限り在庫品を調べたりはしてくれない。客と店員はそんな関係なのである。
 だからインドネシアから来たばかりの友人はそんなペースで買う気もないのに平気であれこれ頼んで店員をこき使っても平気の平左である。ところが日本の店員は何を言われても嫌な顔一つせず一生懸命に対応してくれる。試着室に入れば何気なく靴を揃えたり、サイズが合わなければ倉庫にまで走って取りに行ってくれたりと、物凄い気の使いようである。その挙句にもう少し他を見てくるね、とか適当な事を言って何も買わなくても嫌な顔一つせずに笑顔で応えてくれる。他のアジアの国で同じ事をすれば、ほぼ間違いなく嫌な顔をされる。
 日本程お客を大事にしてくれる国は何処へ行っても先ず見当たらない。関係が悪化していて、連日日本が不必要に戦々恐々としている中国などは、大分改善されて来たとは言っても、客が買いそうかどうかを直ぐに見極めて、買いそうでなければけんもほろろの応対をされる。中国に限らず、、並べてアジアでは似たり寄ったりである。良く言えば合理的、悪く言えば店の売上げなどどうでも良いのである。だから、客の側からすれば日本式が気持ちよいに決まっている。
 そう言えばレストランでも、欧米の様にチップが期待出来る国では一生懸命なウェイトレスがいるけれども、チップがそれ程期待できないアジアでは、中国も含めサーヴィスは日本に比べればどこもおざなりである。今日の久しぶりのデパートの散策で、その気を新たにした。友人も冷やかしで歩いていたのに、結局は随分高い買い物をする羽目になって、それでも至極ご満悦であった。産業は空洞化し、経済は停滞し、就職は難しい日本だが、サーヴィス業を見る限りは日本はまだまだ健在で、そう簡単に中韓を初めとするアジアの国に追いつかれる惧れはないと思う。やはり、日本のサーヴィス業は世界に冠たるものであったのだ。しかも物作りと違ってサ-ヴィスは機械では置き換えられないから、他国が日本のレベルに追いつくのは並大抵ではない。サーヴィス業を見る限りは、日本はまだまだ健在であった。ただ、その心配りだけは大事に受け継いで行きたいものである。