baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 オバマの再選

 米大統領選で、激戦を制してオバマが再選された。小学校の時には継父に連れられて、4年間ジャカルタに住んでいたというので「オラが村の出身者」の様な親近感があり、インドネシアは総じてオバマ贔屓である。実際、オバマ自身が当地に来た時には昔通っていた小学校を訪問したりしている。2年前には「オバマ」という、彼の少年時代の映画が大ヒットした。僕も暇つぶしに観に行った事があるが、生憎満員で切符が買えずに、次の上映まで何時間も待たされるので諦めて帰って来た記憶がある。
 オバマのミドルネームはフセインと言うイスラム系の名前であり、米国ではオバマは隠れムスリムであると言う一部の中傷があったりするのも当地での人気の理由の一つである。実際、ケニヤ人の実父もインドネシア人の継父もムスリムであったと言うから、子供時代はムスリムであった可能性は高い。イスラム教では、父親がムスリムの場合には母親は一神教であれば別にイスラム教の信者でなくても構わないが、子供はムスリムにするのが決まりだからである。オバマ自身が、当地でクリスチャンとムスリムの融和を説く演説をした事もある。それまでは事ある毎にムスリムとテロリストを混同するブッシュが大統領だったから、この演説も酷く新鮮に受け止められた。そんなこんなで、世界一のムスリム人口を抱えるインドネシアでは、公然とイスラエルに肩入れすると言って憚らないロムニーよりはオバマが好ましいに決まっている。斯様な当地の雰囲気を受け、事前の予想でオバマの勝利が固かった事もあろう、当地の大使館はホテルの一室を借り切って開票の実況中継を流し、インドネシア人を招待して大使共々オバマが勝利するのを見守っていたそうである。
 オバマが在学したジャカルタの「メンテン第一小学校」では、選挙期間中もオバマのポスターを張って応援していたと言うが、当選した今は在校生が全員でお祝いの手紙をホワイトハウスに送ると張り切っているらしい。卒業生が大出世したと、大騒ぎなのである。実際には卒業はしていない筈だから、元在校生と言うのが正確なのだが、そんな細かい事はどうでも良いのがインドネシアらしい。何れオバマからは礼状が届く事であろう。
 そんなオバマではあるが、やはり米国の政界に深く張り巡らされたユダヤ献金組織と、軍需産業の力の前には大統領と雖も全く歯が立たないようである。見えない処で共和党政権とは多少違う処があるのかも知れないが、少なくとも米国が親イスラエルである事には些かの変化もない。世界一のテロ国家であるイスラエルの暴力を米国が制止しない限りはパレスチナの平和は望むべくもないのだが、オバマですら手も足も出ないのかと至極残念ではある。