baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 ジャカルタの交通事情

 インドネシアには今仙石由人が来ているらしい。政権があるうちに国費で外遊しようと言う事かも知れないが、明後日にも解散と言う時にそんな呑気な事で良いのですかと余計な世話を焼きたくなる。或いはもう破れかぶれなのかも知れない。
 当地の交通渋滞は知る人ぞ知るで、一時のバンコクも顔負けになりつつあるのだが、昨日、今日は特に酷い目に遭わされた。昨日はまともに走れば2km位の距離なのだが、朝晩のラッシュアワー時の3in1という規制に遭って少し遠回りを余儀なくされた。それでも普段なら20分程の事である。打ち合わせを終えて、夕方5時40分に車に乗って、2km先のホテルに着いたら8時15分になっていた。2kmに2時間半も掛かってしまったのである。到着した時には交通規制も唐の昔に解除されているのだが、一旦嵌り込んでしまった道から逃げる事がどうしても出来ず、U-ターンもままならず、こんなつまらない記録を作ってしまった。歩いた方が早いのだが、既に暗くなっているし人間の歩く歩道は整備が悪いから、こんなに時間が掛かっても次の予定がない限りは我慢して冷房の効いた車内にいた方が良い。
 今日はジャカルタから20km程の距離にある、高速道路沿いの工業団地に出掛けた。普通なら40分程の場所である。午前中に仕事を終えて11時40分に先方を失礼した。それがジャカルタのホテルに戻ったのは2時20分であった。2時間40分掛かった事になる。一つには、途中で高速道路の工事が進捗中で、一か所だけ車線が2車線に規制されている場所があったからであるが、それにしても酷い渋滞であった。流石に昨日、今日の渋滞は例外的なものではあるが、こんな事が日常的に起こり得る交通事情なのである。
 ジャカルタ市内には公共交通手段は実質バスしかない。ジャカルタには一日に2070万人の人間が出入りし、その60%が自家用車か自家用二輪車を使うと言う。ジャカルタの自動車と二輪車の登録台数は1300万台程で、ここ数年は年率10%の割合で増加していると言う。一方で道路の延長は年間0.1%だそうで、このままでは2014年には車が全く動けなくなるという予想もあると言う。が、もう既に、昨日も今日も全く動けなくなる状態を体験させられた。
 当地のトラックの荷台は以前は木製が多かった。木の荷台に安物のペンキでラーマーヤナの場面の様な絵を描くのが一般的であった。それが、今日は手持無沙汰だったので高速道路で周囲を見回していたら、木製の荷台が大分減っていて、変わりに金属製の荷台が躍進していた。形が似ている物が多いので初めは木製かと思っていたが、良く見ると金属製なのである。ただ最近は荷台に絵を描いたトラックは、少なくともジャカルタでは殆ど見かけなくなった。絵を描く職人の手間賃が、トラック運転手には払えないレベルに上がったものか。
 横に40フィートコンテナーを引っ張ったトレーラーが来たので見るともなく見ていたら、最後尾のタイヤがひび割れ、穴があき、よくあれでバーストしないものだと思われる代物である。びっくりして順に前の方のタイヤをみたら、穴こそ空いていないがひび割れは似たようなものである。あの大きなタイヤがバーストすると、本当にバーストと言う言葉通り爆弾が破裂したような物凄い音とショックがある。コードが散乱している事もあるから、コードが飛び散るのかも知れない。そんなタイヤが目の直ぐ横に来ると、心中穏やかではない。早く離れてくれと祈らずにはいられないのである。
 そんなジャカルタなので、日本からも援助している地下鉄や、或いは計画が頓挫して支柱だけが道路の分離帯に林立しているモノレールが一刻も早く出来て欲しいと願わざるを得ない。その時には今の交通警官の半分ぐらいは鉄道公安官にして、拳銃を持たせて車両1台に二人づつ位配置して運航したら良い。そのぐらいすれば富裕層はともかく、中産階級までは公共交通機関を使うようになるであろう。
 インドネシアは明日から4連休になるそうである。昨今は木曜日か火曜日が旗日になると、谷間の日を臨時に政府が休日にして4連休にしてしまう。今日の大渋滞はデモのせいだと言われているが、大型連休の影響もあるかも知れない。今回は運悪くその労働者への人気取り政策に僕も巻き込まれる事になったので、取り敢えず今夜の飛行機で一旦帰国して、日を改めて出直す事に決めた。仕事は遅々として進まず焦るのだが、一人で焦っても仕方が無い事も頭では百も承知である。