baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 衆院選(2)

 メディアは早くも安倍晋三が次期総理の様な予見を以て報道している趣がある。斯くもメディアは無責任で怖いと思いながらも、実は僕も次期総理は安倍だと勝手に思い込んでいる時がある。そんな世間の雰囲気があるから偏に安倍を責める訳には行かないが、今日の安倍の演説は少々口が滑っている。曰く、自分が徹底的な金融緩和を政策として掲げた途端に円は安くなり、株価は上がっているではないか、如何に自分の主張が正しいかを市場が証明している、と。しかし本気でこんな事を思っているとしたら安倍晋三も相当おめでたい。まさか心底そう思っている訳ではなかろうから、余りみっともない発言はしない方が良い。
 国家の経済再生は5年、10年の計であって、一朝一夕に為せるものではない。ただ株価が上がり、円が安くなったからといってそれだけで日本経済が上向く訳ではない。しかも市場は短期の儲けを狙って動く。5年、10年の計で投資する投機資金はない。投機には思惑や博打も入り乱れて、短期の利益を狙って大金が右往左往する。大金と一言で言っても、投機資金は何十兆円にも及ぶ事もある。安倍の政策が市場の思惑に火を点けて、円も株価も動いている事を否定はしないが、だからと言って市場が安倍の政策を正しいと認めて反応していると決めつけるのは余りに安直なのである。市場は幾らでも逆に動く事もある。投機資金が自分の政策を認めている、などという言葉を一国の長が吐くものではない。口先介入の効果を得々と説明しだしたら、安倍晋三安住淳と何も違わない無能大臣に成り下がる。
 更に、自衛隊を「国防軍」に改称すると言っている。何を狙って国防軍などと言う古めかしい名前を引っ張り出して来たのか分からないが、なにも今更名称を変える事もあるまい。自衛隊のままで集団的自衛権を発動できるようにすれば良い。昔の戦争と違って武器が発達し、戦火があっと言う間に飛び火する現代戦においては、特に国内に米軍基地を持つ我が国の集団的自衛権の発動は必要不可欠である。徒に発動されては困るから歯止めは必要だが、今のように集団的自衛権を認めないのは現実的ではない。だからと言って、自衛隊国防軍に改める必然性は全く感じられない。こういう、徒に国民の神経を逆なでするだけで、何の意味もない政策は掲げないに越した事はない。
 どうも安倍晋三は、今までの民主党の無能政権への国民の批判が、そのまま自分への期待であると勘違いして少し思い上がっているのではなかろうか。民主党よりは益しだろうと言う票が、消去法で仕方なく二者択一している事をも肝に銘ずるべきである。何時までも、今の様に調子が良い時は行け行けどんどんで、ちょっと調子が悪くなってストレスが溜まると辛抱堪らずに、お腹が痛くなっていとも簡単に政権を放り出すボンボン議員のままでは困るのである。
 野田佳彦は「一旦決めたら皆でやり抜く覚悟のある党」を必死に謳っている。止まらぬ離党者に、党内からも野田への批判が強まっているらしいし、鳩山由紀夫の立候補断念で更に鳩山派の議員の離党が出てくると言う予想もある。しかし党内で政策の足並みが乱れるようでは政権運営など出来る筈もないのだから、執行部に不平不満の議員はどんどん追い出せば良い。しっかりした己の信念もなく、有権者に迎合して票を集めんとする様な議員は公認しなくて構わない。旧民社党日教組出身者は概ね百害あって一利もない。民主党が真の政党として脱皮するには、今が正念場だと言えよう。
 社民党は、また何時もの如く何でも反対である。この党は伝統的に反対だけする党である。原発反対、消費増税反対、TPP反対。反対は結構だが、それでどうするのかの政策は全くない。とにかく反対なのである。再生可能エネルギーの開発に予算を付けるといったおざなりな対案は並べているようだが、その程度の工夫の片鱗もない知恵で世の中が回るのならそんなに楽な事はない。こういう非生産的な、反対の為の反対しか出来ない党は無用の存在である。共産党社民党は全く以て目障りである。如何してこういう政党が生き延びられるのかが不思議でならない。