baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 ジャカルタ日記

 当地での仕事は相変わらず捗々しくなく、ついに週末もこちらで超す羽目になっている。一週間身を削る思いの交渉が続き、大渋滞の中をあちらこちらへ時間に追われて移動していると、流石に心身ともに消耗して来る。そんな毎日の中で、今日は多少息のつげる出来事があった。インドネシアに多少の造詣があればサリムと言う名前を聞いた事があると思うが、そのサリム・グループの総帥であるアンソニー・サリムに、所用がありほぼ10年ぶり位に面談したのである。
 相変わらず超多忙で中々時間が貰えなかったが、秘書から今日なら時間があると言っているがどうするかと訊いて来た。そこで決めた時間に事務所を訪ねると、昔から顔馴染みのボディガードがロビーで待っていてくれて、専用エレベーターで最上階に案内される。そして通された応接室で待っていると程なく、部屋の外から「○×さん」と大声を掛けながらアンソニーが入って来た。昔と全く変わらぬ簡素な格好で、顔付も10年前と少しも変わらぬ童顔のままである。近くで見れば流石に多少の老けは隠せないが、相変わらず若々しい。昔は仕事一筋であったのだが、60歳を過ぎてからは毎日1時間ウォーキングをしていると言う。とは言いながらも彼の事だから、恐らくはウォーキングマシンで歩きながらも携帯電話で情報を集め、世界中に指示を出しまくっているのであろうと想像し、思わず笑い顔になってしまった。超多忙な時間をを割いて貰っての面談だったので短時間で、余り色々な会話は出来なかったが、久しぶりの再会は楽しいものであった。
 それにしてもジャカルタの昨今の渋滞は本当に酷い。最近は特に雨季の影響で頻繁に午後になると嵐の様な風雨が襲うのだが、雨が降ると車が増えて渋滞に一層拍車が掛かる。5km位の距離に30分、酷い時には1時間以上も掛かってしまう。本当に酷い渋滞だと、少しでも隙間があれば割り込んでくるバイクすら身動きが付かなくなる。こういう時は車は10分以上も殆ど動けなくなる。しかも、これ程の渋滞でも尚、昼間はジャカルタ市内にはトラックが入れない様に規制されていての話なのである。この渋滞が為に無駄になっている人間のエネルギーと時間、車の燃料の事を考えると、正に気が遠くなるような浪費である。バンコクはいち早くMRTや地下鉄、第二高速などを建設して渋滞を和らげたが、ジャカルタの渋滞解消はもう待ったなしのレベルに来ている。