baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 休日のジャカルタ

 一人で夕食を摂るのも昨晩で7日目となった。当てにしていた友人が不在だったりした事もあるが、今回は仕事の打ち合わせが酷く不規則で事前に約束する事が難しく、畢竟一人で食事をする事になる。一人だと中華料理は難しいので選択が狭まってしまい、だんだんと飽きてくる。昨夜はジャカルタの中心部に一番最近作られたモールへ行き、ちょっとした買い物をしてから軽くうどんを一杯食べて帰って来た。運動不足もある、出掛ける前にホテルのラウンジでジンを一杯引っ掛けた事もある、けれどやっぱり外食に飽きて来て余り食欲が湧かない。
 このモールには高級専門店が軒を並べている。グッチ、アイグナー、ルイ・ヴィトン、ブルガリ、フェラガモ、コーチ、モンブラン、とにかく僕が思い付くブランドはどこも店を出している。それがもうすっかりクリスマスの雰囲気で、車寄せは綺麗に電飾されている。僕は普段カメラを持ち歩く習慣がないので、この時も手ブラであったのが酷く悔やまれた。因みに携帯のカメラはミニSDの具合が悪くパソコンに写真が取り込めない。インドネシアで使っている携帯にはミニSDすら入れていない。
 インドネシアイスラム国と言われるけれど、10%近いクリスチャンもいるし、何よりも日本と同様クリスマスが商業化されて来ている。そんな浮き浮きし始めたモールの玄関前には、ポルシェが1台、フェラーリが2台、派手に塗り直されているミニクーパー、何だか高そうなモデルのBMWが駐車している。本来駐車場は地下にあるのだが、特別な金持ちは遣りたい放題で、周囲も文句も言わずに黙っている。そういえばマクラーレンが新たに出店すると言う。販売するモデルは2車種で、それぞれ67万ドルと74万ドルだそうである。ベントレー並みである。相続税がないインドネシアには、とんでもない金持ちがゴロゴロいる。
 毎週日曜日はホテルの前の目抜き通りが、朝の6時から正午まで歩行者天国になる。昨夜の買い物は実は、この歩行者天国を散歩しようと買ったT-シャツと半ズボンと靴下であった。遅い朝食を済ませ、着替えて外へ出たらいきなり車とバイクが走って来た。どうやら歩行者天国は11時までだったようである。何事にも融通無碍なお国柄だから別に驚くには当たらない、歩行者天国の時間などは直ぐに変わる。例えば通り沿いのホテルでお昼に大きなパーティーでもあれば、歩行者天国よりは金持ちのパーティーが優先である。
 今日は間違えた情報を信じた僕が悪い。一瞬戸惑ったが折角支度も整えた事だし、少し排気ガス臭い街を我慢して歩くことにした。この頃のジャカルタはすっかり都市型に変わっていて、幾ら歩行者天国の直後とは言え、午前中は車が滅法少ない。昔は朝の5時になれば、未だ薄暗い中を大勢の人が右往左往し始めていたものだが、この頃の土日は午前中は殆ど人出がない。午後も少し遅くなってから、やっと渋滞が始まるなど世はすっかり様変わりである。だから目抜き通りは、昨日の渋滞は嘘の様に車がスイスイト走り抜けて行く。日本は随分と寒い様だが、こちらはあっという間に汗が噴き出て来た。久しぶりにアルコールが抜けそうである。