baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 東京は大雪の後遺症

 昨日の大雪の後遺症で、今日も東京は交通がメチャクチャであった。午前中から所用で出掛けたのだが、家の近所の住宅街の道路は雪掻きをした家としていない家との落差が激しく、雪掻きをしてくれている家の前は雪が薄くシャーベット状になっていて歩きやすいのに、何もしていない家の前は雪が凍っていて足下の覚束ない事甚だしい。マンションの前などは住人が誰も気にしないから、それこそデコボコのアイスリンクの上を歩かされる心持である。家から100m程で幹線道路に出るのだが、片側2車線の幹線道路は完全に1車線が雪で覆われていて、しかもあちらこちら凍っているからチェーンを付けた車でも走らない。それで実質片側1車線になってしまっている。幹線道路同士の交差点では早速大きな事故があったようで、救急車が数台、警察車両が多数駐まっていた。消防自動車も来ていたから、ひょっとすると交通事故ではなかったのかも知れない。その交差点では警察官が大勢スコップを振るって、凍った雪を割りながら除雪をしてくれていた。事故処理の警察官とは別に、除雪だけで10人以上はいたであろう。ご苦労な事である。
 僕は最初はバスに乗った。東京のバスはスタッドレスなど持っていないから、チェーンを履いている。だからスピードは出ないし、ガタガタと周期的によく揺れる。片側一車線を占領して30㎞ぐらいで走るから定めし渋滞が酷かろうと後ろを振り返ったら、後続の車もやたらに車間を開けてノロノロ運転しているし、そもそも車の数が少ないから渋滞とは無縁であった。バスの停留所は除雪が不完全で、特に降車ドア辺りは除雪の後か吹き溜まりかで、雪が膝位まで積もっていて降りるのに酷く苦労した。
 所用を足して次の場所への移動に、普通ならバスが便利なのだがバスのダイヤが大狂いで次は何時来るか分からないと係員が言う。仕方がないので大変な大回りなのだが地下鉄でJRの駅に出た。結果は大正解で、さすがに地下鉄はしっかり走っていた。一方地上のJRは、昨日は不通だったのが今日は一応走ってはいる。しかしダイヤなどあってないみたいなもので、散々待たされた挙句に表示されたダイヤとは無関係な電車が入って来た。それでも吹きさらしのホームは雪融けの煽りで風が冷たく大層難儀だったから、電車に乗れて人心地であった。電車の高架から見る景色は未だ家々の屋根も道路も白銀一色で、東京にしては本当に久しぶりの雪景色であった。
 帰りは普段使う郊外電車で帰って来た。夕方の4時過ぎに最寄りの電車駅に着いたのだが、もう道路の雪は凍り始めていて歩きにくい事この上ない。駅前の商店街では殆どの店は雪掻きをしているが、中にはしていない店もある。するとそこだけ車の轍を拾って歩く事になり、行き交う人が鉢合わせをする。商店街を抜けて、と言っても高々100m程だが、幹線道路に出る僅か10m程の坂道は随分と滑り易く、少しも気が抜けなかった。そして残り100m程の我が家への最後のアプローチは、もう雪がバリバリに凍っていて、雪の融けた後は再びアイスリンクの趣である。東京は雪に弱いと言うが、昼間の気温が高いから始末が悪いのである。スキー場や、昨年末の金沢の雪とはまるで異質の、何とも始末の悪い雪である。それでも近所に、随分大きな雪ダルマが出来ていて、幼い頃の記憶を擽ってくれた。僕が子供の頃の東京は23区でも、一冬に何度かは子供の長靴が埋まる程度の積雪は普通で、毎年一度や二度は竹スキーやソリ遊びが出来たものであった。