baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 複数税率導入

 消費税増税導入に伴い、低所得層への配慮として複数税率導入が自公で議論されている。一方民主党は、早々と複数税率導入を捨てて、低所得層への現金給付を主張するようである。しかし現金給付は消費税とは直接関係ない単なるバラ撒きであり、現金給付を受ける為にあの手この手で所得を低く見せる輩が必ず出てくるのだから、僕は断固反対である。民主党のバラ撒き嗜好は相変わらず治っていないらしい。消費税増税に伴う低所得層への配慮は、飽く迄も消費する者がその場で恩恵に被れる制度とするのが原則であるべきである。それでも不公平だと言うのであれば、それは所得税の累進税率の見直しで議論すべき事である。
 複数税率導入には僕は反対ではない。乱暴に言えば、生活必需品の税率は低く抑え、贅沢品の税率を上げるのだから一見反対する理屈は見当たらない。しかし各論に入ると、事はそう簡単ではない事が分かる。先ず税率である。現行の消費税率5%は世界的に見ても最も低い水準にある。税は安いに越した事はないけれど、火の車の日本の財政状態を考えればせめて10%程度は最低税率として已むを得ないのではないかと考えている。近い将来、必ず10%から更に増税せざるを得なくなる時が来るから、その時に複数税率を同時に導入すれば良いと思っている。しかしそれでは低所得層に気の毒であると言うのなら、せめて8%をクリアーしてからの事ではなかろうか。何れにせよ、参院選を念頭に国民に阿るのは、結果が中途半端になるから止めた方が良い。
 更に難しいのが税率の仕分けである。例えば米を例に取ろう。最低税率を8%として、米は生活必需品だから8%に据え置くのが望ましい。ところが米にも標準米とブランド米があるが、それはどうする。最近流行の電子レンジで温める白飯はどうしよう、これもお米みたいなものだから8%で良いではないか。なるほど、加工しても米は米なら、餅も8%で良い筈だし、それならお握りや巻きずし、稲荷ずしも8%でなければ不公平ではないか。持ち帰りが8%なら、寿司屋で食べる寿司も8%でなければ筋が通らない。寿司屋が8%ならラーメン屋も蕎麦屋もバーガーも牛丼も8%だろう。ところで煎餅はどうする、あれも原料は100%米ではないか。しかし煎餅には随分外米が使われているが、それでも8%か。と議論は留まる処を知らない。当然業界からは陳情が来、小沢一郎の様な政治家は躍起になってそのお先棒を担ぐ。理屈は良いけれど、実際に国民の最大公約数が満足行くように捌くのは並大抵ではあるまいし、うかうかしていれば例外ばかりが増えてしまい、一体何の為の増税かと言う事にならないかと危惧するのである。
 公明党は来年4月の8%増税時からの導入を主張していると言う。しかし僕は本件は拙速に走る事無く、せめて再来年10月の10%増税時まで十分議論を重ね、国民にも各業界にも出来る限り公平感の出る制度にすべきであると思う。消費税は日々の流通に伴う税であるから、一旦税率が変更されれば各企業の経理処理のソフトの変更は大変な手間暇を伴う。従い一旦決めたら簡単に変更すべきではない訳で、尚の事拙速は絶対に避けるべきである。