baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 アンリ=カルティエ・ブレッソン写真展

 今日は銀座で昔の仕事仲間の新年会があったので、行き掛けにかねてよく立ち寄るブログに載っていて気になっていたアンリ=カルティエブレッソンの写真展を見て来た。銀座シャネルのネクサス・ホールでやっている入場無料の写真展である。ブレッソンは2004年に96歳寸前で亡くなった写真家であり、画家であったのだが、最後まで天然色写真は撮らなかったようである。あくまでもモノトーンの陰影と幾何学的な構図、或いは撮影の瞬間の世相の一コマを切り取る事に徹していたらしい。僕は不明にも件のブログで知るまではこの写真家の事は知らなかったのだが、岩波が写真集を出す程の斯界では有名な人物であったらしい。
 僕は絵心は全く持ち合わせていないので、本ブログに掲載する写真からも分かるように写真も下手糞な素人写真しか撮れないが、絵でも写真でも見るのは大好きである。そして見れば幾ら絵心が無くても、僕なりに感じる処は大である。特に今日の写真展にあった古い写真は、未だフィルムの感度も低かったのであろう、まるで敢えて増感したような粒子の粗い写真や、動く被写体が止まらない映像が、いとも自然に心に浸み入ってくる。焦点深度の浅い中で構図された、計算しつくされた最近の写真とは一味違う趣が何とも心地よい。そこに詰まっている一瞬が、得も言われぬ何かを訴えてくる。そんな一枚一枚の写真に大いに感銘を受けて、心に新たな息吹を感じながら、結局はしょうもない新年会に向かったのであった。
 ところで銀座シャネルに入ったのは今日が最初なのだが、4階の展覧会場でエレベーターに乗って気が付いたら、シャネルの係員が90°に腰を折って、エレベーターのドアが閉まるまで最敬礼してくれていた。こんな国は日本以外、世界中何処にもあるまい。そんなにされる謂れは少しもないのだが、面映ゆいような、日本人として誇らしいような、何とも愉快な気分で会場を後にしたのであった。