baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 聞けば許し難い、日航再建

 昨日の参院予算委員会の生中継を見るともなく見ていたら、自民党西田昌司日本航空の再建に伴う不可思議な話を追及していたので、俄かに耳を欹てた。と言うのは僕も日航の株では大損をしたから他人事ではない、今でも思い出すと腹が立って仕方のない話なのである。
 僕は株主優待券目当ての株主だったのだが、経営不振が表面化した時にも日航は半官半民みたいなものだから大過なかろうと高を括っていた。そのうちに破綻が公になり株価が買値の半分にも落ちてしまったので、流石に損切りしようかどうしようかと悩み始めた矢先に、時の国交大臣だった前原誠司が、株主に全ての責任を取らせる事、つまり株券を紙屑にしてしまう事は考えていないと発言した。僕はその頃、日航の損失には、大した需要も見込めないのに俺が村に無理やり開港した空港に赤字便を飛ばさせたりした政治家の責に帰すべき処も大きいから、前原発言は当然であると思い、株券が紙屑にならないのであれば塩漬けにしておいた方が得策であると判断した。その発言からちょうど5日後に、資本金はゼロにすると発表された。株主の持つ資本金は只にされてしまったのである。あの時程前原誠司民主党政権を呪った事はない。実際、ペテン同然であった。せめて半値で処分出来ていればそれは自業自得だから、これ程悔しい思いはしなくて済んだし前原誠司を呪う事もなかった。
 その後日航会社更生法の適用を受け、企業再生支援機構から3,500億円の出資を受け、銀行団から5,215億円の債権放棄を受け、小沢一郎の盟友と言われた稲森和夫を外部から受け入れて再建を始めた。その結果2年も経たないうちに2,049億円という営業利益をこの3月に出す事になった。そして復配もするらしい。
 日航日の丸飛行隊であるから、倒産させてはならないと言う暗黙の了解はあったろう。だから日航を再建させた事に文句はないし、僕も高を括っていたのである。しかし3,500億円もの国民の税金を注ぎ込み、銀行には5,000億円を超える出血を強い、当然債権放棄に見合う莫大な税収減を齎し、公正取引委員会が問題にしないのが可笑しい程全日空には不公平な肩入れを受けた挙句に、全日空の二倍以上の営業利益を叩きだしてしまったと言うのである。しかも怪しからんのは、株を東証に再上場する2-3ヶ月前に僅か5社にのみ割り当て増資を引き受けさせていると言うのである。上場時の売り出し価格は3,790円であったが、この割り当て増資は一株僅か2,000円であったと言う。西田昌司は「これは第二のリクルート事件である」と言っていたが、2-3ヶ月後にほぼ倍になる事が分かっている株を、特定の相手に渡すのは正にリクルート事件の再来である。そしてその5社の中に、どうやら稲森和夫の京セラも含まれていた様である。
 そして復配である。西田昌司は、株主の4割が外国人であるから、配当は4割が海外流出する、日本の国民の血税が使われて再建を果たしたのに、配当として利益は4割も海外に流れてしまうのは許せないと息巻いていた。しかし株が外国人にも公開されている以上、配当が海外に流れるのは致し方が無い。怪しからんのは、これだけ銀行や株主に迷惑を掛け、国民の血税企業再生支援機構経由で受け取りながら、平然と配当を払う事である。何とも釈然としない。割当増資と言う、犯罪に近い美味しい話があったのならせめて旧株主には、出資比率に応じた割当増資の権利を呉れてしかるべきであったし、迷惑を掛けた銀行にも同じく割当増資を割り当てるべきであった。その上で配当などは未だせずに、儲けた資金で自社株買いでもしていれば良かった。往復で許し難い民主党政権時代の、日航再建だったのである。しかし今更出来ない事を言ってみても始まらない。こうなったらせめて、不明朗な5社に対する割当増資を徹底的に洗い出して世間にその経緯を詳らかに公表して欲しい。検察は、出来る事なら立件して欲しい。何故なら、僕はこの割当増資は殆ど犯罪だと思うのである。