baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 日米首脳会談

 もうすぐ日米首脳会談が始まる。今までも総理が替われば必ず日米首脳会談はあったが、今回は最近の首脳会談の中では最も期待が膨らむ。と言うのはこの3年3ヶ月、鳩山由紀夫の「Trust me」事件でオバマを怒らせて以降、その後の民主党政権が凋落の一途でまともに相手にされなくなった事もあり、すっかり日米関係が冷えていたからである。しかし個人的な好き嫌いは別として、今の処安倍政権は及第と言えるから、今回はオバマ側にも期待はある筈である。折から森喜朗元総理の訪ロはプーチン大統領との会談も含め、極めて順調に行ったようだから、尚の事米国も首脳会談は成功裏に終わらせたい筈である。経済面、財政面ではお互いに未だ呻吟しているし、特に今の日本は自信喪失で全く迫力がないけれども、それでもGDPが世界で一番と三番の経済大国同士、且つ同盟国の首脳会談である。
 安倍晋三オバマと仲良くなり、信頼関係を築くと張り切っている様だが、一方で最近はオバマは実務肌で仲良くなるタイプではないと言うアドバイスが多い。アーミタージュもその一人である。まぁ見れば分かる。オバマは如何にもインテリ・タイプで人付き合いには距離を置き、話は言った事が出来るか出来ないか、言った事をやるかやらないかが大事なタイプ、無意味な酒の付き合いや飯の付き合いは原則断る、西洋人にはよくあるタイプだと僕は見ている。話している時はジョークなども交えて人当たりが良さそうでいて、うっかり距離感を間違えると手の平を返したように拒絶されても不思議ではない。今まで日本の総理が個人的に仲良く出来たのは、中曽根時代のレーガン小泉時代のブッシュJrぐらいである。この二人に共通するのは南部出身の大統領であった事である。僕はアメリカ人の事は殆ど知らないけれども、東部のインテリと南部人の違い位は分かるつもりである。安倍晋三は呉々も焦らずに、話の内容と話し方、当然の事ながら駆け引きはあろうが、東洋的な腹芸ではなく明快な言葉とコミットメントで信頼を勝ち得て欲しい。信頼される事が大事なのだから、今日の会見で「Shinzo」「Barack」と言う仲になっていなくとも焦る事はない。
 今般の首脳会談に絡み、TPPでは国内が二分されるほどの騒ぎになっているが、時代の流れに竿を差しても勝ち目はない。日本の一次産業は岐路に立っているという現実を受け入れなければ、何れ衰退するのは目に見えている。税金で何時までも支え切れるものではない。しかも交渉せずして、初めから米国に負けると思い込んでいる負け犬根性は一体何処から出て来るのであろうか。大筋では僕はTPPへの参加は日本の為に必要であると考えており、それは今も変わらないが、もし本当に日本の国益に合致しない協定になるのなら、それがはっきりしてから下りれば良い。一度交渉に参加したら二度と下りられない、と言う声もあるがそんな事は有り得まい。単に米国の陰に怯えての事であろう。関税撤廃にしても、助走期間もある筈だから、そう闇雲に怯える必要はない。ただ、国内の一次産業の近代化努力は絶対に不可避である。
 一方で米国の言い分には怪しからん事もある。例えば最近もBSE拡散防止の為に日本が取っていた20ヶ月未満という牛肉の輸入制限を、ゴリ押しして30ヶ月だか何だかに変えさせてしまった。日本の20ヶ月と言う根拠も僕は良く分からないので、どちらが正しいのかは判断出来ないのだけれども、とにかく自分に都合が悪ければ他人の家のルールだろうが力ずくで変えてしまうと言うのが米国流である。同様に、今度は日本国内の自動車の安全基準が非関税障壁だと言う。車検の事であろうが、そんな事を言うのなら日本の自動車産業から見れば右側通行、左ハンドルだって非関税障壁であった訳だが、日本は文句一つ言わずに左ハンドル車も席巻した。アメリカの産業界は思い通りにならないと、直ぐに議会へのロビー活動で突破しようとし、上院は上院で海外に出た事のない議員が半分以上、地元の権益を守る事しか頭に無い田舎者揃いだから、訳も分からず政府にゴリ押しする構図は未だに全然変わっていない。米国の力はこれから更に相対的に落ちてゆくから、力ずくも遠からず効かなくなるし、そもそもそんな安易なやり方では製造業が進歩しない。アメリカももう少しグローバライズしそんな現実に目が覚めるように、日本も交渉では頑張る処は頑張らねばならない。