baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 北方四島返還

 懸案の森喜朗元総理の訪ロシアが今月末にも実現するらしい。鳩山由紀夫ごときがしゃしゃり出たりすると話がややこしくなるだけなので気を揉んでいたのだが、森喜朗の訪問がやっと実現するらしいので少し安堵している。安倍晋三プーチンも、北方四島の懸案解決に前向きの様なので、ひょっとすると機が熟して来ているのかも知れないという期待を持たせる。安倍晋三森喜朗プーチン宛ての親書を託すと言う。
 北方四島は元々日本領であった事は紛れもないが、戦勝国ソ連が戦利品として取り上げたもので、尖閣諸島竹島とは問題が本質的に異なる。フランスとドイツが戦争の度にアルザス、ロレーヌを遣り取りしていた感覚である。だから具体的な解決策はともかく、問題としては余程単純で分かり易いし、地続きの欧州では戦乱の度に、普通に起こっていた事である。そうやって実行支配されてしまった北方四島に対して、日本は正式に渡した覚えはないから、戦後も既に70年近く経ったのだからせめて四島は返還してくれと言っているに過ぎない。千島や樺太は端から諦めているのにも何か理由があるのを物の本で読んだ事はあるが、定かには覚えていない。どちらにしても、千島や樺太が返ってくる筈はないから、その理由には大した意味はない。そして、戦後の日ソ平和条約交渉では、一旦は歯舞、色丹の二島返還で合意寸前になった時期もあったらしい。しかし、当時は未だ鉄のカーテンが垂れていた時代で米国が日ソ平和条約の締結を望まず、米国の横槍で流れたと聞く。二島返還の流れはその時から未だに尾を引いているのである。現に昨年末にも森喜朗は二島返還が妥当と言う発言をテレビでしたりしている。
 ところがプーチンの腹は、歯舞、色丹に国後をおまけした三島返還で決着させる事を狙っていると言う話を聞いた。理由はまた中国の領土拡張の野望である。昨今のシベリアへの中国人の流入は夥しいものがあり、このまま放置すれば中国人にロシア領の一部を実効支配されかねない勢いだそうである。対する地元のロシア人は極東に永住する事にはそれ程の情熱がなく、出来る事ならモスクワなどの中央に住みたい人が大多数だと言う。そんな流れに竿を差すべく、政府は極東の住人に色々と奨励制度を設けているが、それでも生活水準は中央には遠く及ばず、住民の中央指向は中々止められない。其処で、完璧にロシアが実効支配を続けている北方四島の中三島を日本に返還する事により、例え実効支配が続いてもそれ故に自国領と言う理屈は成り立たないとするのが目的だと言う。日本の声をある程度受け入れて妥協の姿勢を示し、中国には実効支配だけでは領有権の主張には不十分である事を示し、且つ国内向けには北方四島の中の最大の択捉島を獲得したのだからそれで良いと説得する腹だと言うのである。
 外交機密を誰かがさも聞いて来た様に言う話だから、全く荒唐無稽なのかも知れないが、話としては大いにあり得るとも思える。戦前の日本人は国後島までは随分入植していたが、択捉島国境警備隊が主で一般の人間はそれ程おらず、邦人の先祖の墓などが多く残っているのも国後島までだと言う。それが事実であれば、なる程日本側も国後が来れば納得できるのかもしれない。歯舞、色丹の二島では流石に余りにも小さいが、国後島が来ればそれなりに恰好も付く。これが本当ならこの辺りで手を打ち、平和条約を締結して中国や北鮮を牽制するのが現実的で賢明な道かも知れない。