やっと一息

　4月は引っ越しで本当にあっという間に過ぎてしまった。もう二度と引っ越しはしたくない心境である。疲労困憊の果てに、やっと少し整理も付き、蟹の横這いから多少は縦にも歩けるようになった。一応棚が付けられる処には棚も付き、やっと段ボールも残り二〜三箱ほどに減ったがこれは当分居座りそうである。もう何処にもスペースが残っていないのである。後は更に、捨てられる物を選別して物を減らすしかないのだが、戦後の物の少ない時に育った僕には未だ用を為す物を捨てる程辛い事はない。そんな中で二、三の新古電気製品に貰い手が付いたのは嬉しかった。勿論無料で、更に配達までしてしまった。
　折角の連休だが、何処へ行くのも大渋滞に決まっているのを良い事に、今年は身体を休める事に徹している。とは言え毎日じっとしている訳にも行かないので、今日は両親の墓に転居の報告をするついでに神代植物公園に立ち寄った。未だバラには早過ぎるのは承知であったが、それでもそのバラが綺麗に咲き揃っている区画もあった。種類により咲き揃う時期がずれる様である。久しぶりの好天の下、小一時間ほど広々とした植物園の中を散策した。偶然にも今日は入園料が無料であったので、日頃籤運には全く縁のない僕には、この上ない幸運に恵まれた心地がした。お蔭で両親の墓前には普段は買わない、石屋で売っている一番高い花を供えたので結局は持ち出しになってしまった。墓は年末に気合を入れて木を刈り込んだので未だそれほど酷い事にはなっておらず、今日の処は一時間ほど枯葉拾いと草むしりをして、腰が痛くならない中に引き上げて来た。