baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 バブルの再来?

 明日から急に香港に出張する事になった。一泊の出張なので、鞄一つで身軽に出掛けるつもりだが、それはそれで結構疲れる様になったこの頃である。それに昨今の円安で、出張コストがかれこれ25%も上がってしまった。円高に慣れてしまい、海外出張の時にはそれなりにメリットを享受していたから、我ながら言う事が矛盾しているとは思いながらも急激な円安は懐に響く。だからと言う訳ではないが、対ドル102円と訊くと幾ら何でも下がり過ぎではないかと先行きが不安になる。個人的には当面は95円前後が適正だと思っているから、そこから先の円安は投機資金の思惑に乗せられているのではないかと思えて仕方がない。
 実際、急激な円安が明らかに追い風になっているのは、今の処は自動車産業ぐらい、それと強いて言えばこの頃は何処へ行っても外国人が賑やかだから観光業界も良いかも知れない。自動車業界は本当に急に威勢が良くなったが、日本全体で見れば原発が止まったままの現状ではエネルギーコストが大幅に上昇するから、余程輸出に依存した産業でないと今の急過ぎる円高には追随し切れない筈である。電気代は今後更に上がろうから、一般の製造業はむしろ苦しくなるかも知れない。更に、繊維や外食産業の様に輸入品に対する依存度が高い業界ではこれから値上げが始まるのであろうが、多少の値上げでは輸入コストの増加分もカバーしきれまい。その上消費税増税が実施されれば、否が応でも物価は上がりデフレ脱却となるのだろうが、中身の伴わないデフレ脱却では意味がない。
 それでも輸入品のコストが大幅に上昇すれば何れは国内産業の空洞化に歯止めが掛かると言う円安のプラス面も出て来ようが、今の処は異次元の金融緩和と言う幟が踊っているだけで、未だ実体経済にはそれほどの効果が実感出来ないのは僕だけではあるまい。先日乗ったタクシーの運転手に訊いても、夜の長距離が増えたと言う話は聞かないし、昼間は一向に景気が良くなったという実感はないと言っていた。
 となると、やはり今の相場の立役者は投機資金だと思えて仕方がない。投機資金の思惑買いに依る余りにも急激な円安と、外資の大幅な買い越しに依る急激な株高。投機資金は実体とは無関係に相場を操りモラルなき利益追求に徹するから、それこそバブルの再来こそ彼らの思う壺である。そして彼らがゴッソリ儲けた後に、手の平を返した様に資金を引き揚げる時に取り残されるのが一般投資家である。企業業績がそれ程良くなっている訳でもないのに、日経平均がもう直ぐにも15,000円を抜こうかとなると、僕の様な老人にはブラックマンデーの再来という不安が如何しても拭い切れない。