baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 お茶会

 今の住いに移ってから丸4ヶ月経つ。以前住んでいた集合住宅と異なり、今度の処は64世帯と大所帯の住まいである。だから日頃しばしば隣近所と顔を合わせるのだが、「おはよう」とか「こんにちは」とかの挨拶はするけれど、それ以上の会話はお互いにない。中には「おはよう」すら目をそむけて言う人や、返事をしない人も一人や二人ではない。自転車置き場などで偶に言葉を交わしている婦人も見掛けるが、何故かよそよそしく見える。何だか人間関係が酷くいびつに感じられるのである。
 ただ駅から近い割には比較的安い場所なので、若い夫婦が圧倒的に多い。畢竟赤ちゃんがコロコロ生まれている。まるでインドネシアに住んでいる時の様に、其処彼処にお腹の大きい女性がいる。偶々隣人と上の人が2週間違いで5月に最初の赤ちゃんを出産した。それでもお互いにまったく交流がないようなので、年寄りの余計なお世話で、我が家でお茶会を開いて双方を紹介をする事にした。そう誘いを掛けると、両方とも大喜びの態である。
 僕のバイク置き場の隣に小型スクーターが駐めてある。偶に動いている様なので、どんな人が乗っているのか前から気になっていた。そのスクーターの持ち主と昨日ばったり出くわした。何となくバイクの話をしているうちに、彼の家にも先月赤ん坊が生まれたばかりだと分かった。それでお茶会に誘ったら、「かみさんが何と言うか分からないので、とりあえずかみさんに訊いてみます」との返事であった。その彼が今日夫婦で僕の家に挨拶に来て、是非参加させて欲しいとの事、勿論大歓迎である。彼の処には、もうすぐ二つになる上のお子もいるので、4人で来る。
 こうして偶々接触のある人たちに声を掛けてみれば、みな普通の人達で特段人嫌いという事ではない。むしろどうしたら見ず知らずの人と知り合いになれるかが分からないだけで、チャンスがあれば交際範囲を広げたいと思っている様である。皆僕の子供の世代の人達なので、育ったころから既にスーパーマリオの時代になっていて、外で転げまわったりする経験も少なければ、そういう場で知らない子が「入れて」と入って来る経験もなく育ったのであろう。だから知らない人との付き合いに慣れていないのだと見受けられる。
 そんな簡単な事でみんなの交友範囲が広がり、子供達の仲間が増えるのなら願ったり叶ったり、正に年寄りの出番であろう。お茶会は来週の日曜日にする事になった。知る人しか知らないトトロのシュークリームを準備して、亭主どもには興が乗れば酒を飲ませてお互い仲良くなって貰おうと思っている。気が合わなければそれだけの事、気が合えば末永く勝手に付き合ってくれれば本望である。