baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 「軽自動車税」問題

 軽自動車税の値上げが俄かに現実味を帯びて来て、喧しくなって来ている。軽自動車が社運を左右するスズキやダイハツは、戦々恐々と総務省批判を展開している。それはそれで一面の真理も包含するが、同時に僕には軽自動車の優遇は今や時代にそぐわない面があると言う個人的な思いがある。次元の違う処で、欧米の圧力で日本独特の制度を変えるのは、もうそろそろ卒業して欲しいという思いもある。そう、戦後日本はもう終わりにしなければならない。例えば攻守入れ替わって、日本のメーカーであれば如何するか。日本のメーカーであれば間違いなく、軽自動車が非関税障壁であると騒ぐ前に自分も軽自動車を作ろうとする。右ハンドルが非関税障壁であると大騒ぎした米国メーカーと、さっさと左ハンドルを開発して米国市場を席巻した日本メーカーの違いがそこにある。だからこの問題では、外圧で見直す様な真似はもうして欲しくない。
 僕は軽自動車の問題には二面があると思っている。これは僕の日頃からの、バイクに乗っていて感じる実感なのである。即ち、地方の過疎地や田園地帯、旧い街に行くと、生活に密着した軽自動車が氾濫している。野良仕事に活躍する軽トラック、公共交通機関が殆ど実用にならない過疎地で足代わりに超高齢者や主婦が運転する軽自動車、戦災を免れて旧い街並みが残る市街の、細くて普通車では擦れ違いも覚束ない裏道を走り回る軽自動車、これらは何れも生活に密着しているだけに、こういう車を必要としている人達には増税は気の毒だと心から思う。一方で高速道路で普通車をも凌ぐ猛スピードで追い越して行く軽自動車、追い越し車線から一歩も譲らずにマイペースで、しかし決して遅くはないスピードで走行する偉そうな軽自動車、オープントップで風を切りながら軽快に走行する軽スポーツ車、などを見るとこんな車が如何して車検も無ければ税金も重量税も高速代も安いのかと腑に落ちない。
 詰まる所、昨今の軽自動車は中途半端になってしまったのではなかろうかと思うのである。昔の軽自動車は360ccであった。それが何時の間にか660㏄になり、車体も広がった。しかしこれらの改善は、今日の技術と性能から言えば、もはや生活に密着した使い方には必要なくなっているのではないか。生活に密着した車であるなら、高速道路を何も130㎞で走れる必要はないし、オープントップのスポーツ車も不釣り合いなのである。高速道路でバンバン飛ばすなら、何も普通車と区別する必要はないから税金も重量税も普通車並みにすれば良いのだが、一方で生活密着型であるなら、それ程スピードが出る必要もなければ車体が大きい必要もない。
 そこで提案したい。軽自動車の規格は、もはや見直すべき時期に来ている。今の軽自動車を二分して、普通車と同じ扱いにするグループと、従前通りの軽自動車に据え置くグループに分けたら良い。走りや性能を重視するグループは、規制に縛られる事無く、奔放に良い車に乗ったら良い。その代わり、税金や重量税や高速代はしっかりと普通車並みに払って貰う。他方で、本当に日々の足代わりに、或いは日々の生活に密着した働く車として軽自動車を使っている人には、従来通りの安いコストの軽自動車を残すのである。その軽自動車は、時速80㎞も出れば良い。規格も、それに見合ったエンジン容量や車体寸法に引き下げ、最高速を抑えてトルクを重視したエンジンにすれば良い。値段も、今まで以上に買い易い設定にしたら良い。同時に何なら道路交通法で、軽自動車の制限速度などを普通自動車と区別して、バスやトラック並みにしても良い。そこまでやれば欧米の自動車メーカーも、自らの技術不足を棚に上げてまで不平不満を言う事もなくなろう。また売上げ比率でも、国内販売台数の4割にも迫る程の事はなくなるのではなかろうか。欧米に言われるまでもなく、昨今の軽自動車の優遇制度は少しいびつになっている。