baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 メルケル首相の携帯盗聴

 ドイツのメルケル首相が、未だ野党々首であったころから10年以上も、その携帯電話が米国に盗聴されていたと問題になっている。他人の通信を傍受・盗聴するというのは勿論倫理上許されざる暴挙ではあるが、どこの国でも大なり小なりやっている事でもある。
 常識として、通信は誰かが傍受していて当たり前である。だからメルケルが携帯電話で、国家の機密に関わるような重要な事項を話している筈はない。我々一般人ですら、重要事項は決して携帯電話では話さない。国家権力に限らず、通信の傍受程度であれば私立探偵でも出来ない話ではないからである。在外公館では固定電話機に暗号器を付けて電話を架けるのが普通である。固定電話であれば、少なくとも携帯電話程は簡単に盗聴出来ないし、それが暗号となるとかなりの組織ぐるみでないと解読は難しくなるが、それでも国家レベルとなれば出来ない話ではない。従い、重要機密を電波に乗せるなどと言う事は、能々の場合でもなければ考えられない。メルケルの携帯電話の場合も、盗聴によって実害を蒙ったという事はないと思うが、同盟国に裏切られたと言う不快感が問題なのであろう。それに、どんなに他愛のない話でも、もし他人に聞かれていたとはっきりすれば黙ってはいられない。
 同盟国である米国が日本の在外公館を含め、メルケルの携帯まで盗聴していたと言うのは、勿論耳にすれば不快極まりない話である。しかし、わざわざ言われなくてもその程度の事はやっていたであろうとは、多少なりとも安全保障や外交に興味のある人なら誰でも思っている。外国に限らず、米国内では相当のレベルで米国人も盗聴されている筈である。ここで一番の問題は、それが公になってしまう米国の諜報組織の脆さ、内部機密が漏洩してしまう職員のモラルの低下が、想像以上に惨憺たる状態になっているものと思われる事である。こんなレベルの事で、米国大統領がわざわざメルケルに電話をして釈明したと言うのだから、米国もいよいよ地に堕ちたものと言わざるを得ない。