baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 特定秘密保護法は個人情報保護の国家版

 特定秘密保護法案で国会が賑やかである。確かにこの種の法律は、運用を誤れば国民の知らぬ間にとんでもない事が起きていた、という事態になりかねない。しかし他方で、国家にも個人情報と同様の機密事項はあってしかるべきで、民主主義に秘密は要らないという反対派の意見は暴論である。NSAとCIAの元契約職員、エドワード・スノーデンの暴露は世界を震撼させたが、その暴露による米国の国益の毀損は図り知れない。その証拠に米国の仇敵であるロシアが亡命を受け入れた。やはり重要機密は法律で保護し、万一にもその法律を破った者には重い罰則を与える事は必要である。
 独、仏を始めとする同盟国は、自らの在外公館が盗聴の対象であったと暴露されて不快感を表明したが、在外公館の盗聴などは外交官にとっては当たり前の事で、何も目新しい話ではない。しかし米国の盗聴に豪州の国家機関が手を貸していて、インドネシアの大統領の通信が豪州に盗聴されていたとなればインドネシアは建前上も抗議しない訳には行かず、現在インドネシアとオーストラリアは不穏な関係になっている。インドネシアにしてみれば、表沙汰にならない限りは知らぬ振りを決め込めても、表沙汰にされてしまえば国民の手前も黙っている訳には行かなくなってしまったものであろう。同じ盗聴対象であった日本は大人しい。そんな当たり前の事で騒いでも仕方がないという、大人の対応か。
 何れにせよ通信の傍受は世の常識である。米国は公式には認めないらしいが、エシュロンという世界最強の盗聴システムを持っている事はもはや周知と言っても良かろう。スーパーコンピューターを軸に、地上アンテナ、人工衛星偵察機イージス艦、潜水艦、凡そありとあらゆる手段を講じて世界中の通信を傍受するシステムと言われている。従い、在外公館が本国に連絡する必要がある国家の存亡に関わる様な重要機密事項は、在外公館の職員が文書を本国に直接運ぶ筈である。何故なら、今の処100%信用し得る通信方法は皆無だからである。解読不可能な暗号も研究が進んでいるようではあるが、未だ実用化されたと言う話は聞かない。
 レベルが異なるとは言え、個人情報は悪質な業者に入手されると執拗な勧誘電話や「オレオレ詐欺」の様な犯罪に利用され、更にはストーカーが殺人事件を起こしたりするので、不必要に開示しない事は当然である。同様に国家にも絶対に外部に漏れてはならない機密が存在するのは当然で、機密が守れない様な国では同盟国からの重要な情報も貰えなくなる。それを承知で尚この法案に反対する人たちの多くは、思想的に極めて偏向している、日本を第三国の手に渡さんと目論んでいる輩としか思えない。こういう連中に限って個人情報の保護には人一倍うるさい。全くの矛盾である。
 勿論、特定秘密保護法の如き法律は両刃の剣で、適用を誤れば国が誤った方向に持って行かれるリスクがある。しかし政府が狂っていれば、法律の一つや二つ、あろうがなかろうが国は誤った方向に導かれる。肝心な事は、リスクを孕む法案に無暗に反対するのではなく、政府が誤った方向に国を導かない様に国民一人一人が常に監視を怠らず、選挙に際しては自分の一票を悔いの残らぬ使い方をする事しかない。衆愚政治のお蔭で政権を奪取した民主党政権が、その間どれだけ日本の国益を毀損した事か、そしてその初代の総理大臣が未だに国益を毀損し続けて恥じない事実を風化させる事無く、同じ過ちを二度と繰り返さないようにしなければならないと思う。同様、メディアにも、今の様に広告収入に重点を置いた大向こう受けだけを狙った皮相な報道に終始するのではなく、国民の監視の目としての機能をしっかり自覚して公正、且つ正確な報道に努めて欲しいものである。