baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 ネルソン・マンデーラ元大統領の国葬

 明日からネルソン・マンデーラ元南ア大統領の国葬が始まる。1990年に、世界の世論の後押しを受けた恩赦で出獄するまで、27年間も獄中から人種差別解放運動を続けた偉大な指導者で、マハトマ・ガンジー以来の偉人と称されている。日本でもそれなりに、かなり大々的に報道されてはいるものの、偉大な指導者が逝ったという域は越えていない。しかし、欧米では政府機関は挙って半旗を掲げてその死を悼んでいると言う。日本からは明日の公式追悼式には皇太子が列席し、11日は帰国するそうだが、世間ではオバマ米大統領クリントン元大統領夫妻、ファンロンバイEU大統領、オランド仏大統領など140ヶ国から首脳級が参列する、「世界最大級」、「現代における最大級」の葬儀になると言われていて、当然の事ながら、弔問外交も活発に展開されるであろう。日本からは福田康夫元首相が政府特使として皇太子に同行するらしいが、もう賞味期限の切れた元政治家である。とても弔問外交展開と言う訳には行くまい。
 幸か不幸か、日本では人種偏見に対する認識が薄い。アイヌと言う少数民族の問題を今でも抱えているとはいいながらも、ほぼ単一民族で人種偏見の問題に正面から向き合う機会が殆ど無かった。中国系の人や半島系の人も日本では同化が進んでしまい、欧米程の軋轢は生じていない。彼等の性格は日本人とは随分違う筈なのだが、顔付が似ているので彼らが余り突出しない様にしているとそれ程の摩擦も生じない。斯様に呑気に過ごして来たから、今また改めて歴史認識問題だとか慰安婦問題などと因縁をつけられても、何処か現実味が薄くてそれ程腹も立たない。本来ならもっと腹を立ててしかるべき因縁であり、難癖なのである。
 東南アジアには世界の華僑の四分の三が集中している。華僑国のシンガポールを別格として、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピンでは一握りの新世代華僑が経済に多大な影響力を保ち、且つ彼等は未だに現地の人とは一線を画した社会を形成している。勿論古い世代の華僑、即ち古くは8世紀ごろから17〜18世紀ごろまでに移住した世代、は混血してしまっているので今ではもう判然としないケースが多いし、タイの様に新世代も同化が進んで政治力を持つまでになっている国もあるのだが、大部分の国では旧宗主国の植民地政策の影響もあって同化は進んでいない。これが例えば1998年のインドネシアでの華僑大虐殺を招いたりもする。
 島国育ちの日本人はよく平和呆けと茶化されるし、僕自身もそういう感をしばしば抱くのだが、ネルソン・マンデラ元大統領の国葬に伴う対応を見ていても、どうも日本人の感覚は世界と少しずれている様な気がする。