baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 久しぶりのジャカルタ

 今回は、火曜日からインドネシアに来ている。昨年に比べると今年は大分ペースダウンで、もう4月だと言うのに今年は未だ2度目である。
 一昨日は飛行機が大幅に遅れ、結局出発は定刻の4時間半遅れとなった。前日から連絡があったから飛行場で無為に無聊を慰める事はなかったが、ジャカルタでの夕食の約束はキャンセルせざるを得なかった。僕の切符は飛行機会社を変えられない安い切符なので、事前に大幅遅延の連絡があっても飛行機は変えられない。厭も応もなく乗り込んだ機内は、最近は何時も満席なのだが、一昨日は精々が6割程度の入りで、忙しい現役世代の人たちは恐らく他の飛行機に乗り換えたものであろう。お陰で僕は窓際の二席を独り占めして、普段は見る事のできない漆黒の夜空に浮かぶ月、しかも満月と、その月光が眼下に広がる薄雲に映えてまるで真っ白なヴァージンロードが一直線に続いている様な、何とも幻想的な夜景を楽しむ事が出来た。
 ジャカルタが近付いてくると、今度は眼下に無数の船の灯が浮かび、中には投光器が煌々と海を照らす作業船もいて、何をしているのか養殖用の筏にも数多の灯が点り、これまた幻想的な風景である。陸が近づいてくると、いつの間にこんなに明るくなったのかと目を疑う程の、無数の灯が眩しいジャカルタであった。何時も通路側に席を取り窓外の景色など見た事がないので、今回ばかりはまるで初めての地に着陸する時のような新鮮さを味わった。
 今年のインドネシアは、先日国会議員の総選挙が終わったばかり、次は7月に大統領選挙が控えている政治の年である。例年の事ながら、今年は一部の選挙運動に関連する繊維や仕出し弁当などを例外に、殆どの産業が停滞する。当地の人間の心理は、新政権とその政策が見えるまでは投資を手控えるのが普通だからである。今回はその繊維すら思ったほど荷動きが出てこないと聞く。大統領候補にめぼしい人材がおらず、闘争民主党のジョコウィとグリンドラ党のプラボウォ、しかも大衆の人気ではジョコウィが圧倒的に強いので、余り選挙運動が盛り上がらないのかも知れない。
 そんなジャカルタで今連日テレビや新聞を賑わしているニュースが、ジャカルタインターナショナル・スクールで起きた5歳の男の子に対する性的虐待事件である。トイレの掃除人が二人がかりで5歳の男の子を、しかも一度ならず性的に虐待したと言うのである。女性の掃除人が関与した疑いも持たれている。そもそも授業中に5歳の男の子を一人でトイレに行かせた管理責任、精神が正常ではない男を雇った学校の責任、そしてこの事件は未だ氷山の一角であるという憶測、等々が渦巻いて連日喧しい。それにも増して、インターナショナル・スクールに子供を預けている親は戦々恐々としている。犠牲になった男の子の父親は、テレビで観る限りは白人男性、母親がインドネシア人の様である。しかしこんな事件、と言うには余りに悲惨な事件なのだが、が大問題になる程にインドネシア民度や民主度が上がってきている事は間違いない。