baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 泣く子も黙る会計検査院

 実は最近酷く忙しい。昨年末から某政府系機関の仕事を引き受けたのだが、これが思いの外時間を取られるのである。友人に紹介され、初めは極く気楽に応募した。高齢者雇用対策としては比較的待遇が良い。そして、昨年まで引き受けていた仕事にもやっと目鼻が付き、今年は少し時間が出来そうだった事もある。殆ど思い付きの様に応募したので、事前には大した準備もしなかったのだが、後から聞いたら何と10倍もの狭き門であったらしい。やはり一般よりも待遇が良い事に惹かれた者が多いのであろう。僕の場合はそんな事とはつゆ知らず、気楽に受けたのが却ってよかったのかも知れない。
 年が明けていざ仕事を始めて見ると、この仕事、やたらに出張が多い。それも関係者が多いので日程調整が難しく、月曜日に神戸に行き、水曜日に岡山に行く、といった余り効率の良くない出張が多いのである。特に先月末までは期末の駆け込みで、文字通り東奔西走であった。それにも増して忙しいのは、杓子定規な規則による処が大である。出張前の申請から始り、戻ってからの精算、報告と、フォームが20種類近くも揃っている。殆ど同じ内容を、別のフォームに書き写したりもする。切符を買うのにも色々と決まりがあり、その決まりに則っている事を証明する証憑を揃えるのも、僕の様な私企業出身の者には想像も付かない煩雑さである。
 現役の時には秘書が旅行会社に電話を一本入れれば、直ぐに何でも届けてくれたものだが、今は到底そんな訳には行かない。だからと言って一々自分が出掛ける訳にも行かないから、結局足が出る事が分かっていてもつい無精をしてしまう。請求金額が規則通りであれば、実際には幾ら払っていようがお咎めがないから、ついつい楽に走ってしまうのである。日当も出ない。後から分かったのだが、日当の精算がまた複雑極まりないので、お互いの手間を省くために日当は固定給に含めたものだと言う。どうりで一見待遇が良い訳だが、忙しくなればなる程実質の実入りは減ると言う、摩訶不思議な給与ではある。
 それもこれも、会計検査院の監査があるからだと言う。会計検査院は無駄な官費や不正な金遣いに目を光らせる機関だと思っていたが、これでは不正はなくとも、実に膨大な公務員の時間とエネルギーを浪費させている様に思う。しかも、幾ら規則を厳しく、細かく作ったところで、更に裏を掻いて悪い事をする奴は必ず出て来るものである。残念な事に、世の中には必ず悪い奴がいる。しかし、その悪人が少しでも悪い事がし難くなるように色々な規則を作れば、大部分の善人の能率は半減されてしまう。この非効率、不能率を時間当たりの俸給で計算したら、国全体でみたら天文学的な予算の浪費だと思われるのである。