baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 大統領選挙

 先週が少し忙しすぎたのか、或いはジャカルタの気候が悪いのか、今週の頭から風邪をひいてしまい少し熱もあり、連日必死の思いで仕事に出ている。悪い事に一月ほど前から腰痛が出てしまい、これも過去に経験のない痛さで内臓に癌でも出来たか、はたまた石でも出来たか、と疑ったりもするのだが、日本にいる時には時間が取れずにそのまま出張に出ている。癌なら慌てる事もないが、石なら外地で悪さをされたら困るなぁと思っていたのだが、もうほぼ2週間、車で、飛行機で、連日飛び歩いているが、今の処別段暴れる様子も無いのでどうやら石ではないらしい。風邪薬を飲みながら、腰の方は何とか後一週間温和しくしてくれていればと思っている。訪問先のソファや車の座席が特に腰の痛みを増幅するので、就中当地の渋滞が恨めしい日々である。
 当地の大統領選挙は7月9日に、国民の直接投票で行われる。三人以上の立候補があれば、初回の投票で誰か一人が50%以上の得票率を取らないと上位二者の決選投票となるのだが、今回は立候補が二人しかいないので文字通りぶっつけ本番の選挙となる。方や退役陸軍中将でスハルトの女婿であったプラボウォとハッタ前経済調整大臣のペア、他方はジョコウィ前ジャカルタ知事とユスフ・カラ元副大統領のペアの決選である。
 ジョコウィは本ブログにも何度か登場しているが、元々の下馬評では国民の間では圧倒的な人気だと思われていた。ところがここに来て、プラボウォ人気が突如台頭してきて、今や選挙の行方は五分五分とまで言われ始めた。プラボウォの弟はハシムと言う財閥の総帥であり、選挙資金には事欠かない。金にあかせて早速反ジョコウィのネガティヴ・キャンペーンを展開し始めた。更に、プラボウォ、ハシム兄弟の父親は僕も何度も面談しているが、一時はスラウェシに反スハルトの臨時政権を樹立した、極めて聡明な経済学者であると同時に政治家でもあった人物である。そんなこんなで、プラボウォは資金力や政治家としての後ろ盾には事欠かない。ところがジョコウィは個人的には清廉潔白な人物らしいが、国政には未経験である上に、国政を仕切るには欠かせない政党の後ろ楯を何処まで纏められるかという肝心の点が未知数なのである。当地では清廉潔白も、国民には支持されてもいざとなれば政党の支持を得るにはマイナスにしか働かない。
 7月9日の大統領選に向けての選挙活動は今週末から解禁され、来月の5日まで続けられる。今回は一回限りの投票で勝敗が決するので、とりわけ激しい選挙戦になるであろう。個人的にはジョコウィにやらせてみたいと思う反面、やはりインドネシアと言う大国の大統領には少し荷が重いかも知れないという危惧は拭い切れない。何れにせよ、どちらが勝つか目が離せないこれからの一ヶ月となる。