baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 忙中閑

 一昨日からバリに移動して、次の仕事の客が入ってくるまでの束の間の休日を過ごしている。先週は土日もなかったから代休とでも言おうか。二日間休み呆けたお陰で風邪は治り、腰痛も軽くなった。今までにない種類の痛みであった腰痛は正直少し心配したが、結局は過労と、新たに自覚したのだが、加齢による筋力低下によるものであるらしい。これからは少し筋力維持に努めようと決心した。
 バリは何時来ても僕には楽園である。南国の日差しの下で終日吹き抜ける清々しい海風に当たっていれば、直ぐに浮世離れしてしまう。ここ数年は同じホテルに泊まっているが、今年は中国人と韓国人が例年になく多いようである。どちらも公衆道徳に疎く、子供の躾もしない身勝手な人が多いので、時々にわかに夢心地を破られる。白人は、ロシアや東欧の人はともかく、偶に女性の服装に不快な思いを抱く事はあっても子供の躾や公衆の中でのエチケットは概ね弁えているので、彼等に不快感を抱く事は余りない。中でも日本人は、やはり若い女性の服装に嫌悪を催す事はあっても、行儀の悪い子供や騒音に煩わされる事は皆無と言える。日本では人混みや電車で常々腹の立つ事が多いのだが、こうして見れば我が同胞は立派な先進国の文明人である。その最大の理由は、バリでは携帯に没頭している日本人が全く見掛けられない事にあるのかも知れない。
 インドネシアでは大統領選挙戦が本格的に始まった。プラボウォ+ハッタ組は「1」番、ジョコウィ+ユスフ・カラ組は「2」番と決まった。投票では「1」か「2」と書くのである。昨夜はテレビで両陣営の論戦が生放送された。まるで「オルデ・バル(スハルト下の旧体制)」が再現したかの様なプラボウォ組に対するは、クリーンなイメージを表に出して汚職のない政府を標榜するジョコウィ組。既得権にしがみつく旧体制、あるいは金持ちの特権階級を代表するプラボウォと、庶民の人気を集めるジョコウィ。
 ディベートでは具体論に終始するジョコウィ陣営に対し、プラボウォ陣営には抽象論が目立ち、ジョコウィ組に分があった様に思う。しかし、一方でジョコウィの具体論は飽くまでも地方の知事時代の成果を誇示するものであって、地方都市の知事時代には理想を実現する実行力があった事は分かるが、果たして2億4千万人の国民を擁する大国の大統領として、汚職に塗れた政治家と官僚を統率して地方と同じ実行力が発揮できるかは全くの未知数である。加えて余りに庶民に近付き過ぎると、メガワティ時代の様に行き過ぎた民主化や労働者の過保護に繋がりかねない。旧体制派の反感を買えば、経済が停滞してしまうかも知れない。
 個人的には、僕は旧体制そのままのプラボウォ組よりはジョコウィ組に新たな息吹を期待したいのだが、その実力に対する不安は如何しても拭い切れない。その意味では前副大統領を務めたユスフ・カラの存在が非常に大きな安心感ではある。