baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

今日のインドネシア

また日曜日からインドネシアに来ている。今は雨季で、連日午後と夜に雨が降る。雨が降ると急に気温が下がるので、風邪に要注意の時期である。そんなジャカルタで今一番ニュースを賑わしている話題はタクシー強盗とゴルカル党の分裂である。
タクシー強盗とは、インドネシアでは客が強盗を働いて、運転手を脅して料金を踏み倒し売上金を奪って逃走するのではなく、運転手が客の身ぐるみを履いで放り捨てるのである。僕は何時もタクシーは安全なブランドを選んで乗っているが、今回は比較的安全と言われているブランドの車両を盗み、その車両を使った偽タクシーが、夜の7時ごろに女性客を載せて強盗を働き、銀行のキャッシュカードやクレジットカードなど全てを奪い、ナイフで脅してパスワードも聞き出し預金は全て引き出してしまったと言う事件が先週起きたのである。被害者の証言によれば、運転手の相棒がトランクに潜んでいて、タクシーが走り出すと後部座席の後ろからいきなり首を締められ、更に運転手にナイフを突きつけられ、どうしようもなかったと言う。一週間のうちに他にも強盗を二件重ね、中には仲間が待ち受ける場所に客ごと乗り付けて身ぐるみ剥ぐ手口もあったと言う。その犯人が昨日逮捕され、ニュースではどのテレビ局もそのニュースが何度もながれている。犯人は本職のタクシー運転手を含む5人組であったそうで、未だ2名は逃走中である。。
同様に、いや、それ以上に注目を浴びているのがゴルカル党の分裂である。ゴルカル党とは、元々はスハルト時代の大政翼賛会なのだが、未だに隠然たる勢力を維持している、インドネシアでは一二を争う大政党である。今度の副大統領のユスフ・カラも元々はゴルカル党の党首であったが、今回の大統領選では現党首のアブリザル・バクリを抑え切れず、カラは離党して立候補した。そのゴルカルの一部がアブリザルに叛旗を翻しアグン・ラクソノ前福祉調整相を新党首に選任した。党首が二人になってしまった。日本にも似たような話があるから、政治の世界の権力闘争と思えば大した興味も湧かない。
しかし本件は僕には酷く興味深い。そもそもゴルカルは大統領選の前からジョコウィを推すかプラボウォを推すかで割れていたが、結局プラボウォ派が押し切ってしまった。プラボウォもバクリも資金力は豊富だから票集めは強い。そしてバクリは最後の最後まで必死にプラボウォを応援していた。というのは、オルデバルから抜け切れないバクリにとっては、ジョコウィの如きクリーンな大統領が出て来る事は死活問題なのである。例えば、以前本ブログにも書いた事のあるシドアルジョの泥流噴出事故を起こしたラピンドもバクリ傘下の企業なのだが、泥流は未だに噴出し続けており、他方被災民への保証は大半が未実施である。この事故の決着をしっかり付けるだけでバクリは破産するであろうが、彼の脛にはそれ以外にも傷が幾らでもある。それをジョコウィの様な庶民派の大統領に理屈で追求されたら、彼には最早生き残る術は絶たれる。必死になるのは当然なのだが、僕はバクリは大嫌いだから彼が潰れるのを見たいと言う思いと、ジョコウィは一体何処まで旧来の体制に踏み込めるだろうかと言う点で、極めて興味深いのである。