baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 衆院選告示

 衆院選が告示された。今回は何の為の解散だったのかが、結局表向きは全く分からない衆院解散となった。当初安倍晋三は消費再増税の是非を国民に問う、などと嘯いていたが、何時の間にかアベノミクスへの審判と言う名目に変わっている。そもそも消費再増税を先送りするという結論に至るプロセスも、まったくもって不透明であった。要するに理由は何でも良かったのである。安倍個人の名誉の為の長期政権樹立が目的であるのは、当初から見え見えであった。
 国際公約であった消費再増税の延期で、早速ムーディーズが日本の国債の格付けを1ノッチ落とした。ただでさえ覚束ない財政再建が、また一歩遠のいたのであるから当然である。これで日本の格付けは中国・韓国にも劣り、EUのお荷物になりかかっているイタリアと同等だと言う。国債自体は日銀が異常な買い支えをしているので、格下げが直ぐに金利上昇に繋がる事はないらしいが、日本企業の海外での資金調達コストは上昇するであろう。市場では円安に拍車が掛かっている。これでは景気浮揚どころか、輸入品のコスト上昇で景気回復にとっては一層の重しになるのではないかと危惧する。
 理由のはっきりしない衆院解散だから当然と言えば当然だが、論点の曖昧な選挙戦が始まった。民主党政権ショックは有権者のみならず、民主党をも含む野党全般に未だに蔓延している様で、頼りになる野党が見当たらない。あちらの野党もこちらの野党も党内紛糾、権力争奪戦に忙しく国政どころではないらしい。安倍晋三が選挙に打って出るタイミングとしては絶好であろうが、有権者にとっては何だか弄ばれている様な不愉快な選挙である。
 第一次政権を突然無責任に投げ出すかと思えば、今回は長期政権と言う個人の名誉欲に捉われ、重要な政策や法案をいとも簡単に放り出し、仁義なき解散を強硬した安倍晋三、鳩山、菅という稀代の痴愚・狂乱宰相の後を襲っただけに何をやっても前よりは立派に見えるのだが、こうして能々見ればやはり自分勝手で我儘なお坊ちゃん政治家である。こんなにも勝手で奢り切った安倍政権には貴重な票は入れたくない。そもそも財政再建を何と思っているのであろう、そこには些かの真剣さも感じられない。しかし他方で、人材も政策も貧素な野党には何も期待出来ない。正直なところ僕は進退窮まっている。
 話は飛ぶが、一票の不公平は違憲という判断が恒常的に出されているのに未だに抜本的な改革に踏み切らない政治家にも困ったものである。ただ、僕には一票の格差を単に人口比の問題として捉えるのが公平とは思えない。暴論である事は分かっているが、色々なツケがこれから回される若年層の票により重きを置くべきだと思うのである。例えば、60歳から上の年代の一票は7掛けぐらいで換算、40代−50代を1票そのままとし、40代未満を1.5倍位で計算すべきではないかと思う。そうやって現在の財政赤字のツケが回る世代の声をより大きくすべきだと思うのである。政治家が圧倒的に人口比率の高い高齢者に阿るばかりでは、高齢者福祉の財源カットなど実現できないから、畢竟若年層の将来へのツケが中々減らない。若年層の将来の負担を考えれば、高齢者は今少々の負担には耐えるべきであるし、政治家は若年層の声をもっと大事にしないといけないと思う。