baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

インドネシア近況(II)

昨日はメイデーで休日であった。事前に知っていたら昨日のうちに帰国したのだが、変更不可のチケットだったから後の祭り、することもなくホテルで一日暇を潰すしかなかった。
ジャカルタ中心部にあるホテルの前は交通が遮断され、朝からデモ行進が続いた。主催者側の発表では参加者は10万人を超えたと言う。夕方には無残に踏み荒らされた沿道の花壇と、ゴミの山が残されていた。市は早速100人の清掃員を出動させ、清掃に努めた。しかし荒れ果てた花壇の再生には暫く時間が掛かるのは致し方がない。インドネシアの公衆道徳は依然としてこの程度である。
夜、食事に出た。僕は外国でわざわざ日本食を食べる習慣はないのだけれど、若い日本人二人が昨年末に開いた店が何故か気に掛かり応援したい気分になっていて、夕べはその店が入っている中規模のモールへ行った。ゆく前に現金を補充すべく、モールの中のATMでクレジットカードを使って現金を引き出した。ところが、現金は無事に出て来たがクレジットカードが戻って来ない。色々試して見たがどうにもならないので、ATMの管理者である銀行のホットラインに電話をした。休日の金曜日の、時間外の夜であるから実は最悪のタイミングである。繋がる迄に随分時間が掛かったが、それでも何とか人間が出て来た。
事情を説明し、なんとか助けて欲しいと窮状を訴えたところ、名前を訊かれスペルを訊かれ、散々時間を掛けた挙句に、クレジットカードなのでそちらの担当に回すと言う。最初からクレジットカードだと言っているだろうと切れそうになるのをぐっと堪えて、クレジットカードの担当に同じ事を繰り返して説明し、名前を伝えた。その結果の答えは、出てこないカードはどうしようもない、もう使えないからクレジットカード会社に電話してブロックするしかないと言う。こちらは、ATMを離れた後に何かの拍子に僕のクレジットカードが出て来て誰かの手に渡ったら大変だと思う一方、日本のクレジットカード会社の電話番号やカード番号など持って歩いていないから、怖くてその場を離れられない、と同時に何も手が打てない。しかし幾ら押し問答をしても、ATMを開けられる係員を送る事は出来ないの一点張りで、本当に途方に暮れてしまった。
世の中捨てる神あれば拾う神ありで、運良くそこへ機械の保全の係員がガードマンを引き連れて現れた。それからも膨大な時間とエネルギーを要する遣り取りがあったのだが、とにかく最後は彼らの好意と破格のチップで何とかカードを取り戻す事が出来た。それにしても、見かけは随分近代化し、街も汽車も綺麗になったインドネシアなのに、こういう事故では少しも以前と変わらず、誰も責任を取ろうとしないし、頭も使わず、困った人を助けようともしない。インドネシア人は一般に良い人ばかりだが、こと責任や決断が絡む事態では全くの木偶の坊ばかりなのである。昨晩は本当に保全の人間とガードマンが神の様に見えた。
今日は昼を食べに、ホテルの向かいにある大きなモールに出向いた。簡単にラーメンでも啜ろうと日本とインドネシアの合の子みたいなラーメンを出す店に行ったのだが、この店はこの2ー3ヶ月の間に潰れていて、今は寿司屋になっていた。以前のラーメン屋は特別美味くはなかったけれど、メニューが多いのと待たされないのが良かったのだが、やはり美味くないのはもはや致命的な時代になった様である。別の場所に移るのは面倒なのでモールの中をウロウロしていたら、日本のカレー屋を見つけた。中を覗いたら、50人程の客は全てインドネシア人である。そんなに高い店ではないが、それでも単価は日本と同等だから此方の人にとっては決して安くはない。更に歩を進めると今度は日本のウドンのチェーン店が店を出していた。ここにも日本人の姿は一人も見当たらず、ほぼ満席の客は全てインドネシア人であった。幾ら土曜日の午後とはいえ、インドネシア人の消費意欲と経済力の向上を実感したものである。