baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 世界剣道選手権大会

 今日は武道館に、世界剣道選手権大会の男子団体戦を観戦しに行って来た。別に剣道をやるわけではないのだが、知人の息子が米国チームのメンバーで参加しているので、米国の応援に行ったのである。彼は今でこそ押しも押されもせぬ立派な剣士になったが、未だいたいけない子供の頃からの付き合いである。今回が16回目の世界剣道選手権大会だが、日本が団体戦で負けたのは唯一第13回の台北での大会のみで、その時日本を破ったのが米国、そして知人の息子はその時の米国の先鋒であった。しかしその米国も決勝で韓国に敗れ、その時は準優勝に終わっている。米国生まれの彼は剣道の道を歩むに当たり敢えて米国籍を選び、その台北大会から数えて今回で通算4回目の世界選手権出場を果たし、今回も全試合で活躍していた。
 台北大会が日本で放映されたか定かではないが、僕は台北大会の決勝戦はDVDで見た。そして決勝戦での米韓決戦を見て、世界の剣道は最早僕のイメージする剣道ではない、落ち着きのない、品の無い、ボクシングの如きフットワークで飛び跳ねる剣道になってしまったと思った。米国チームがそうであったのではなく、日本を破った米国チームを圧倒した韓国の剣道を見てその印象を持った。柔道と同じく剣道も、世界を舞台にした時に日本古来の精神性が失われ、何が何でも勝てば良いだけのスポーツに成り下がったのかと寂しく思ったものである。
 今日は9時の開始早々に米国がフランス戦を戦うというので、張り切って8時過ぎには武道館入りをした。日曜日の8時は僕には早朝だが、武道館の入り口は既に長蛇の列であった。僕は知人に貰った良い席の前売り券を持っていたので直ぐに入場出来たが、一般席の列の後ろに並んでいたら随分時間が掛かったものと思う。実はこの歳になるまで武道館なるものに入った事もなかったので、荷物検査をされるのに戸惑ったり、館内の通路の狭いのにも驚いた。館内では、昨夜の大きな地震の後なので、地震があっても慌てずに席に座ったままでいるようにアナウンスされていたが、あの狭い通路に観客が一斉に雪崩出たら大惨事に成りかねないと思われた。
 8時半からの選手入場、試合開始式を終え、9時から予選が始まった。予選は52チームを16ブロックに分け、各ブロック内は総当たり戦なので、決勝トーナメント進出の16か国が決まるまでに6時間以上を要した。米国は早々と全勝で決勝トーナメント進出を決めたから、決勝トーナメントが始まる4時までの時間の長かったこと、8時過ぎから座り切りなので尻は痛むし弁当は早々と売り切れるし、観戦も結構な苦行であった。しかも、実は予選は3時過ぎには全試合が終わったのだが、NHKの放映の関係で決勝トーナメントは4時からと決まっていた。僕にとってはこの入場料を払っている観客を無視した1時間が、殊の他長く感じられる時間であった。
 米国は決勝トーナメントでも順調に勝ち進んだが、宿敵の韓国に準決勝で敗れ、結局は3位で終わった。日本は勝って当然のプレッシャーの中で韓国を破り、15回目の優勝を遂げた。何はともあれ、めでたしめでたしであった。それにしても52ヶ国もの国から参加があるとは、剣道も随分国際化したものである。インドネシアからも来ていたが、残念ながらインドネシアはまだまだこれからで、応援する間もなく打ち負かされていたが、見ようによっては武道館で世界を相手に立派に戦えるのだから、思いの外立派だと言えるのかも知れない。僕はやはりインドネシアには、日本の次に頑張って欲しいのである。
 ところで僕が一番懸念していた、落ち着きのない、ボクシングの様な剣道が今や世界の主流かという危惧は、幸い今日で一掃された。杞憂であった。そんな剣道をしていたのは52ヶ国の中で韓国だけで、他の国は概ね何処もどっしりとした足さばきで僕のイメージする品の良い剣道を踏襲していた。僕は剣道は全くの素人だが、素人目には韓国の戦法は前後左右に飛び跳ね切っ先を小刻みに降り回し相手の目先を霍乱し、一旦打ち合えば後は執拗に鍔迫り合いを仕掛けて、腕力で相手を消耗させるような強引さが目立った。そういえば、他国が一様に我々の見慣れた藍の胴着で統一しているのに、韓国だけは白い韓国モデルの着物袴を着用していた。こんな処でも、何か日本に対して一物あるのであろう、寂しいお国柄である。しかし今日は日本が勝てたからこんな事が言えるのだが、これで日本が韓国に破れる様な事になっていれば、こんな韓国剣法が世界を跋扈する事になりかねない。何事にも共通するが、国際化のリスクである。