baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

インドネシア近況

一昨日からインドネシアに来ている。今回は、1955年に第一回アジア・アフリカ会議が開かれた事で知られるバンドンに用があり、昨日日帰りでジャカルタからバンドンを往復して来た。最近はジャカルターバンドンの高速道路が開通しているので、久しく汽車に乗った事がなかったのだけれど、今回は車が無い事もあって十数年ぶりに汽車に乗った。汽車はジャカルタ側は比較的高速で走るのだが、バンドン側は山間を縫う様に急カーブが続き、深い渓谷に掛かる危なっかしい鉄橋を次々に渡るので時間が掛かり、しかも単線なので200kmにも満たない距離に3時間半程掛かる。そして、昔は必ず20~30分程度は遅れて到着するのが常であった。しかし驚くまいか、今回は往きは15分ほど早く、還りも定刻通りに到着した。
以前は車内の冷房が効きすぎていて寒かったので、念の為毛糸のベストを持参したのだが、今は室温は適度に調整されていてこれも無用だったし、トイレも綺麗に改装されていて、しかも走っている間も乗車している清掃員が頻繁に掃除をしているので清潔であった。揺れるのは致し方ないが、それも以前ほどの酷い揺れではなくなっている。ただトイレは水洗は水洗でもアラブ式なので、日本の女性には抵抗があろうけれど。
大した進歩だと感心しながらジャカルタ近郊で見かけた郊外電車を観察していてまた驚いた。先ず屋根に人が乗っていない。電車はどれもドアがきちんと閉まっていて、車内にも煌々と灯りが灯っている。そして8両編成ぐらいの先頭車両と最後尾の車両は女性専用という編成もある様で、その車両だけジルバブを被った女性がぎっしり詰まっていたりする。ジャカルタのターミナルであるガンビール駅はすっかり綺麗に改修されていて、駐車スペースも整然と白線で区画が示されているので、慣れない旅行者でも直ぐにタクシーを見付けられる。つまり、以前は郊外電車はドアは開けたままで走っているのが普通で屋根にも鈴なりの無賃乗車、車内は電気が灯いていなくて夜は真っ暗、当然女性の姿は殆ど見られなかったし、駅に着いても白タクの客引きばかりが目について、肝心のタクシーが何処に止まっているのかが慣れないと分からなかったのである。
今回のバンドン行きの目的は、インドネシア製のチョコレートの原料を日本に紹介するための打ち合わせである。インドネシアはカカオの生産量では世界二位なのに、チョコレートの原料としては評価が低い。しかしインドネシア製と雖も決して欧州製に引けを取らない高品質の物も出来るのである。何もフランス製やベルギー製だけが良いと決まっている訳ではないし、ガーナや象牙海岸のカカオ豆でなければ美味しい高級チョコレートは出来ないと言うのも迷信に過ぎないことを、是非日本に紹介したいと思っている。そのうち、チョコレートの原産地がインドネシアと表示されているものがあったら、ひょっとすると僕が関与している製品かも知れない。少なくとも今は未だインドネシア製のチョコレート原料は日本には入って来ていない。
2月に来た時にも騒がしかった麻薬のトラフィッカーの死刑が、昨日の早朝執行された。死刑囚9人のうちインドネシア人は1人、後はナイジェリア人、オーストラリア人、ブラジル人、フィリピン人で、各国政府からの助命嘆願を却下して、フィリピン人以外の8人が判決通り銃殺された。これに各国は猛反発していて、オーストラリアなどは駐インドネシア大使を召還するそうである。確かにインドネシアの裁判は信用出来ない処があるのは事実で、件のオーストラリア人の裁判では裁判官が賄賂を要求したなどと言う話もあるのだが、政府が他国の司法制度を激しく干渉して、挙句にその判決に反発して大使を召還すると言うのは他国の内政干渉とも言える暴挙である。インドネシアにも三権分立はあるのである。
こういう報道を見ていると、やはりオーストラリアは白人社会で、アジア人を下に見ているとしか思えない。これが米国や欧州で豪州人が死刑判決を受け執行されたとしたら、豪州政府はやはり同様に怒りも露わに大使を召還するであろうか。とてもそんな事をするとは思えないし、そもそもインドネシアに対する様に露骨な助命嘆願をすることもなかろうから大したニュースにもなないだろうと思われる。しかも相手を下に見下しているから、その遣り口も感情剥き出しである。こんなオーストラリアを見ていると、科学的根拠もないまま只々感情的に、他国の文化伝統をも無視して闇雲に捕鯨に反対し、海賊ともテロリストとも言えるシーシェパードを陰で支援している同国の無分別ぶり、白人至上主義の奢りが重なって見える。
それにしても、安倍晋三の英語は酷い。酷すぎる。あれを40分も聞かされた米国両院議員の忍耐力には敬服するが、安倍晋三もゴルフをする暇があるならもっと英語を磨いて欲しい。あの英語は国辱ものである。聞いているこちらが、穴があったら入りたくなった。