baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 電話の自動音声応答

 僕の住んでいる中規模集合住宅では、隣人と上手く知り合いになれないとか、僕と擦れ違っても目をそらせてしまい普通の挨拶が出来ない、などという若い人達がいる。知らない人とのコミュニケーションが限りなく下手な人達なのである。しかしこんな人達でも、こちらから声を掛ければ殆どの人は嬉しそうに知り合いになってくれる。偶に、声を掛けても返事も出来ない人もいるけれど、大抵は知り合いに飢えているのに自分から声が掛けられない人達だと思う。そういう人達には、電話の自動音声応答は心地よいシステムなのかも知れない。僕は決して好きではないが、それでも散々待たされるよりは取り敢えず直ぐに電話に出てくれて、必要な部署に転送してくれる事は効率的だから、聞きたくもない宣伝を延々と聞かされるのではない限り厭だと言う程の抵抗はない。国税庁の自動音声応答などは簡潔で、広告宣伝もないからむしろ好ましい。
 しかし許し難い事もある。許し難いのだけれども最後まで生身の人間が出て来ないから、憤懣の持って行き場もない。最近僕が経験した、この心底腹立たしい自動音声応答はソフトバンクのそれであった。
 僕が始めて携帯電話を買ったのは、インドネシアから最後に帰って来た13年前の事である。その時は特段の考えもなく何となくボーダーフォーンに入ったのだが、それが直ぐにソフトバンクになってしまった。以前のソフトバンクは電波の届かない範囲が圧倒的に他社より広かったので何度か乗り換えも考えたのだが、結局面倒で実行しないうちにLTEが普及して文句もなくなった。そんな訳で、別に良い事は何もないけれどもそのままソフトバンクを使い続けている。昨年の秋に、電池が弱くなったので加入している保繕契約で貰える電池を無償で送って貰った。しかしこの電池は最初から、充電時に時々異常発熱してしまい充電できない事が起きた。当初は極く偶だったのでそのまま使い続けていたのだが、ここに来て頻繁になり、一晩充電しても翌朝には電池が空で電話器が起動しなくなった。しかも異常発熱で、電池のみならず電話機まで酷く熱くなってしまう。
 流石にこれ以上使い続けるのは危険なので、電池を貰う時に電話をしたソフトバンクの専用電話に電話した。何時もの自動音声応答である。ソフトバンクの宣伝や、ウェブサイトでも調べられる、だとか電話機の新機種への交換の勧誘だとか、こちらには少しも用の無い事を延々と喋るのは何時もの事である。その中にやっと数字の選択が始まったが、僕が電話をした目的の、送って貰った電池が異常だから交換して欲しい、という話をするのに適したジャンルがない。似た様なのを試して、やっぱり違うとなると元に戻れないから又一からのやり直しである。何度も電話をして、何度も失敗して、最後まで生身のオペレーターと喋るチャンスを与えられる事もなく、30分程時間を無駄にして最後は諦めた。要は耳障りな話は聞きたくないから、そういうジャンルは初めから設けていないのである。こんな無責任で客を馬鹿にしたシステムは許し難い。と怒りつつ、仕方がないので最寄りのソフトバンクの販売店へ行った。そこでも散々順番待ちで待たされたのだが、やっと自分の番が来たので、改めて極めて穏かに電池の不具合の顛末を話し電池交換の方法を訪ねた。それに対する回答は、電池は出荷前に全品検査をしていて、不良品が出荷される事は有り得ないから交換には応じていない、とのマニュアルに書いてある通りであろう模範解答を、孫の様に若い店員に全く無感情に言われただけであった。それはなかろうと再度事情を説明したが、答えはカセットテープを再生したかの如き同じ回答であった。つまり、3,000円余りする新しい電池を買えうしかないとのご宣託であった。
 やっぱりソフトバンクは乗り換えた方が良いのかもしれないが、メルアドが変わったりするのが面倒ではある。或いはソフトバンクに限らず、昨今は何処も似たような物なのかも知れない。しかし僕には何とも腹立たしくも悩ましい。せめて生身のオペレーターと話が出来る番号が一つ位あっても良いではないかと思うのである。