baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 電気工事奮戦記

 今の集合住宅に移ってから3年半が経過した。照明器具は殆ど以前の家で使っていた物をそのまま持ってきたので、当初は白熱電球と蛍光灯ばかりで、LEDは引っ越しの時に新たに買い足した照明器具一つでしか使っていなかった。しかし白熱電球が市販されなくなり、徐々にLED電球に移行して、やっと蛍光灯を一つ残して他は全てLEDに切り替わった。そこで以前から考えていた居間の照明を調光式にする事にした。
 居間には照明が二つある。それを上下二段のスイッチで点滅させる、一番単純な構造になっている。そこに調光器を入れる訳だが、LED用の調光器は昔のそれと違って何やら難しそうである。そもそも調光器に三種類あり、その中の二種類は調光用に線が一本余分に必要だと言う。我が家は最初から調光など考えて作られていないから、スイッチに来ている電線は当然の事ながら二線式である。この方式で調光するには位相制御方式と言う名の調光器を買わねばならない事が分かった。またLED電球も調光対応の電球でないと調光できない事も分かった。何の事は無い、折角LED電球に切り替わったのだが、調光式にするにはまた電球を交換しなければならないのである。

   (当初の、上下二段式のオーソドックスなスイッチ)
 当初考えていたよりも大分面倒くさそうなのだが、取り敢えずLED用位相制御方式の調光器を二つ、近所のホームセンターで取り寄せて貰う事とした。昔の調光器と違って、一つが上代8,500円と酷く高価で、しかも一つでスイッチボックス一つ分の大きさなので、壁を穿って二連のスイッチボックスを埋める必要もあるのだが、一旦走り出した僕はもう止まらない。ついでに二連スイッチボックス、化粧カバー、電線、コネクターなどもホームセンターで調達した。以前はこういう部品は秋葉原まで出ないと手に入らなかったのだが、近所にホームセンターが出来て随分と助かっている。余勢を駆って、調光対応の電球も調達した。6ヶ必要なので、これも随分な出費であった。
 さて、最大の問題は無事に壁の穴を拡げられるか、新しい二連ボックスを無事に埋め込んで留められるか、である。居間の壁だから、失敗しました、無理でした、では済まされない。醜い傷跡が残ってしまうのだから、絶対に失敗は出来ない。そこで既存のスイッチボックスを取り外して中を調べようとしたら、何と壁に開いている穴はスイッチボックスよりも小さいのである。配線を終えてスイッチボックスまで取り付けた後で、石膏ボードの壁板を張り付けているのである。これでは先ず壁の穴を大きくして既存のスイッチボックスを取り外さないと、壁の裏側の様子が全く分からない。闇雲に壁の穴を拡げるリスクに一時は暗然としたが、スイッチボックスを壁の裏側で動かして、何とか二連ボックスを収めるスペースがある事は確認できた。
 後は厚みが15㎜もあろうかという石膏ボードを、絶対に失敗が許されない中で無事に切削出来るか、専用の工具を買うとこれまた非常に高価なのでたった一ヶ所の工事の為に幾ら何でもそこまでは出費できないし、随分とあれこれ考えた。挙句に、どうしようかと思案しながら道具箱をひっくり返していたら、以前本ブログにも登場した、キャリーバッグにゴム製の足を取り付ける時に活躍した工作用の鋸が見付かった。プラスチック用の大型カッターも出て来た。後は運を天に任せて蛮勇を振るうだけ、と壁の切削に取り掛かった。ところが産むは案ずるよりも易しで、始めてみればそんなに難しい仕事ではなく、脆い石膏ボードは簡単に切削できたのである。そして壁の中にはブリキ製の、中央に溝が作られている横長の板が取り付けてあり、その溝が雌ネジの役目を果たすのでスイッチボックスは左右自在に取り付けられる様になっていた。こういう構造だから、壁板を後から貼り付けてもスイッチボックスは左右に微調整できるし、上下は多少ずれていても配線には支障はない理屈なのであった。
 と言う訳で、無事に居間の照明は調光式に生まれ変わった。もっとも今の処当初の予定通りなのは二つある中の一つ、シャンデリア式の照明だけで、もう一つのペンダント式の方は、100Wの白熱電球に後戻りしている。と言うのは市販されているLED調光対応電球で信頼できる物は今は40W形までの様なのである。僕は最近は暗いと小さな字が読めなくなって来ているので、本当は今までの60W相当の電球を100W相当の電球にして食事や団欒の時は60W程度に、読書の時は100Wにしたかったのである。だから100W相当の調光対応LED電球が出るまでは、物入れからカムバックした古い100Wのホワイトボールが保ってくれないと困る事になった。

     (無事に付いた調光器付きスイッチ)