baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 豊洲移転

 小池百合子が来週にも築地市場の移転問題に結論を出すと言う。結論を出すと言ってはいるが、既に昨年、小池が都知事になった時から結論は出ていた。にも拘らず、小池劇場のメインイベントとして、自身が主役で、しかもその決定プロセスには一切かかわっていない部外者だからどんな問題が出て来ようとも自分には火の粉は決して降り掛からない、いとも気楽に主役が演じられるという格好の演目であったから、知事就任早々真っ先に結論を棚上げしてしまった。そして我々の血税を湯水の如く使って、外から高額の報酬を払って有識者なる訳の分からない人間を掻き集め、業者への補償金を払い、出来上がったがらんどうの建物の維持管理を行い、屋上屋を重ねる委員会を作り、問題を大きくクローズアップさせた。一方では「都民の安全・安心」などと言う勝手な標語を作って、都民の不安を掻き立て煽り立てた。そして最後に、自らが不安を払しょくして晴れて豊洲へ移転させるという筋書きである。小池にも初めから結論はあった筈である。全てはただただ、主役の自分を目立たせるための脚本に過ぎないのは明らかである。
 しかし、少し引っ張りすぎたから自己矛盾も露呈してしまった。流石の小池にも想定外であったのだろうが、築地市場の地下から汚染物質が出て来てしまった。この時は傑作であった。一方の豊洲は一部の地下水から汚染物質が見つかり未だ安全が確認できていないといいながら、他方の築地は地上がすっかり舗装されていて地下とは隔絶されているので安全性には問題が無い、と強弁したものである。豊洲も地下水を使う事は無く、建物には勿論床もある訳で、築地と何処が違うのか、全く説明になっていなかった。僕は思わず吹き出してしまったのだが、当人は余程面の皮が厚いようで、大真面目な顔である。
 もし来週、豊洲移転以外の結論がでるのなら、僕は逆立ちをして100m歩こうと見栄を切りたいぐらいである。どう考えても豊洲移転以外に合理的な結論は考えられないからである。精々が少し結論に色を付ける意味で、民間資本活用による築地市場の再利用、等と言うアイディアが付随してくるのかも知れないが、それは本来の市場移転とは全く別次元の話で、本来豊洲移転問題と同列に論じられるべきことではない。豊洲移転があって初めて議論になる話である。
 オリンピックの開催施設にしてもそうであったが、とにかく過去の決定にいちゃもんをつけてちゃぶ台返しをするのが小池流、しかしオリンピック開催施設の時は余りにも関係者が多過ぎ、また金額も都では手に負えない話だから早々に元からあった筋書きに納めてしまった。大騒ぎして、余計な税金を使って、それでも一応小池劇場の寸劇という効果はあったのだろうが、振り回された傍はとんでもない迷惑であったろう。
 小池は口では「都民ファースト」と言いながら、実は自分が目立ちたいだけの、「小池ファースト」の人間だったのである。例えば、小池の政党遍歴を見れば、そこにはまったく一貫性が見られない。自分が表に出られて、マスコミに騒がれるポジションがあれば、臆面もなく所属政党を渡り歩く。更に豊洲問題やオリンピック開催施設問題に当たっては、過去に何があったか知りたくもないけれど、石原慎太郎森喜朗、或いは自民党に抱く私怨を晴らしたいという個人的なモティベーションもあったのではなかろうか。そんな小池に尻尾をふる都議会の公明党も地に堕ちたものである。
 とにかく早く豊洲移転を実行に移してほしい。余り問題になっていないが、老朽化した築地市場はオープンスペースで野鳥が飛び交い、夜になれば鼠が跋扈する、凡そ非衛生的な古い施設なのである。その築地市場を使い続けることの方がよほど不安であり安全ではない。そうでなくても、築地市場の下に作られる予定であったオリンピック道路が間に合わなくなり、オリンピックの時には酷い交通渋滞が予想されて、我々都民にとっては大迷惑な話なのである。本来都知事には、過去の政策をひっくり返して騒ぎ立てるのではなく、未来の問題に道を付けて欲しいのだがが、成りあがりで都政にはそもそも興味はなく、その上インテリを自称して新しい事を好む無責任な有権者が多い東京だからこその、とんでもない都知事が出現するのである。未だ小池人気は衰えていない様だが、心ある都民には早く都政を正しい軌道に乗せる努力をして欲しいと切望するこの一年である。