baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 また話題提供の前原国交相

 またハブ空港は羽田との発言で前原国交相が今日話題を提供してくれた。どうもこの人は自分が大臣になったら何をしても良いと思っているようで、困ったものだ。僕も東京在住なので成田に国際空港を作った時には戸惑ったし、今でもその不便さに慣れる事は決してない。羽田になればどれほど便利かと思うので、基本的に羽田をハブ空港とする事に、理屈や成り行きを別にすれば、何ら嫌悪感はない。しかし、問題は国策として何十年もやって来た事業を、ぽっと出の大臣に軽々と、こうも簡単に引っくり返され得ることだ。これで果たして本当に良いものであろうか。
 早速成田市長がニュースでクレームを付けている。ニュースでは「地元は戸惑い」などと柔らかい表現を使っているが、戸惑いなどという生易しい物ではなかろう。恐らく腸が煮えくり返る思いであろう。どうして前原大臣はこうも地元住民の感情に無神経、というか思い遣りがないのであろう。民主党一の論客などと言われるぐらいだから、自分の能力を過信しているのであろう。八ッ場ダム問題でもそうだが、勿論一つのプロジェクトには必ず賛成派と反対派があり、国策として反対派の反対と涙を押し切ってやってきたプロジェクトである。そして周辺の自治体も関連企業も、この何十年間か、その方針に沿ってそれなりの投資もしインフラ整備も進めて来ている。
 世間知らずの大臣は成田空港の近辺をリムジンバスで走ったりした事はないだろうから知りようもないのだろうが、周辺には居並ぶホテルの他にも大手航空会社の事務所、更には夥しい数の倉庫や食品工場、警備会社などの空港関連企業が進出している。幾ら土地代が比較的安価とは言え、相当な投資であることは間違いない。羽田がハブになれば、その後の成田空港のポジションにもよるが、これ等の設備のかなりの部分が不要になろう。成田のアクセスにもリニアモーターカーの建設などが検討されているが、これも白紙撤回になろう。検討自体にも金が掛る、などという事はぽっと出の大臣には思いも付かないのかも知れない。
 国策の根本的な変更には、多少時間が掛かろうとも国内の世論と地元自治体、住民のコンセンサスの取りまとめにもう少しエネルギーを使って欲しい。政権が変わっただけで、何十年間も時間を掛けてやってきたプロジェクトが手のひらを返したようにころっと変わるようでは、今後我が国では恐くて大がかりな国策プロジェクトには民間も自治体も投資が出来なくなる。民主党は確かに衆院選では地滑り的な勝利を収めたが、そのマニフェストが票を集めたという事よりは長過ぎた自民党政権に飽き飽きした票が集まったというのは大方の意見の一致するところである。それを勘違いして、何をしても良いのだ、国民の支持があるのだ、と考えているなら元の木阿弥になってしまう。自民党民主党という主要二大政党が牽制し合い、切磋琢磨し合いながら、日本の政治を引っ張ると言う折角の試みが前原大臣の暴走で躓くことのないように、議論を尽くした方針設定と慎重な舵取り、更に大臣に相応しい慎重な発言を切望する。