baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 国会討論 〜 詭弁だらけの民主与党

 国会討論の実況を見た。率直なところ詭弁だらけの与党答弁であった。無血平成革命と気勢が上がる民主与党だが、窮地に追い込まれれば「あなたに言われたくない」などと開き直るか、詭弁を弄して逃げの一手か、結局は自民党と同じ穴の狢であったか。やはり日本では議論を望むのは無理なのか。その中で、岡田克也前原誠司のような次世代を担う人材は、言っている事に賛同できるかどうかは別として、旧世代とは一線を画する率直さが感じられ僅かな救いであった。ただそれ以上若いジェネレーションには野党根性が染み込んでしまっているのか場馴れが足りないのか、自身が大臣である事を忘れて野党の元大臣質問者を大臣呼ばわりするようなお笑い場面まで作ってくれた。
 誰でもおかしいと思うのは郵政の社長人事である。日銀総裁人事であれだけ官僚はダメと、リーマンショックの直後で最も日銀総裁の役割が重要だった時期に、国内経済はさておいて政府の武藤総裁人事案に徹底的に反対して空白を長引かせた民主党の人事とは思えない、と言うのは僕だけではなく誰もが思うところである。にも拘わらず今回の人事は天下りではないと言い張る。曰く、官僚が嵌めた訳ではない、曰く、既に在野が長い、等々。在野が長ければまた公職に着けると言うのなら、今まで民主党が問題にしていた渡りの定義は何だったのか、これこそが正に渡りではないのか?飽くまでも詭弁を弄して強弁する首相。みんなの党の渡邊喜美が詰め寄っていたが、「天下りは今回限り、もうやりませんと認めたらどうか」という指摘には思わず破顔した。
 それにしても亀井大臣の品の悪さは如何であろうか。郵政社長人事に拘わる質問者が質問している間中、閣僚席の最前列から野次りまくるし、その座り方の品のなさはヤクザ顔負けであった。テレビに映っているのだから、一国の閣僚たる者もう少し品性にも気を遣って欲しいものだ。あの映像が海外に配信されれば日本の恥になる。はっきりしているのは、天下りには関心のない、郵政逆改革だけが生きがいの亀井静香と、典型的な旧ジェネレーションの小沢一郎が永年の親交で決めた人事なので、鳩山以下には口が挟めないのであろう。
 しかし僕に言わせれば、元々天下りがいけないという議論が乱暴なのである。有能な人材は使わなければ国の損失である。以前にも書いたが、問題なのは特定のポストに就き損なったら定年までいられない現在の国家公務員の人事制度と、在野に下った後そのポストを、自分の為にも後輩の為にも、守る為に現役の官僚と癒着して業界に甘い汁を吸わせる元官僚、なのである。癒着がなければ官僚の知識と経験は民間で幾らでも使い道があるのだから、何が何でもダメというのは狭量な暴論である。渡りもしかり、有為な人材は引く手数多なのだからその再就職、再々就職を制限するのは無茶である。一方、国の外郭団体を短期間で渡り歩いて、大した実績もないのに退職の都度民間では考えられない法外な退職金を懐にするのは無論許されざる事である。一言で天下り、渡り、ではなくもう少し実態を見極めた議論が必要だと思う。
 ガソリン暫定税率の撤廃。前から言っているように時勢に反する話で、票集めのばら撒き以外の何物でもない。暫定だから何時までも維持するのは趣旨に反すると言う点では同感であるが、無条件にただ廃止するのはどう考えても時代に逆行するし、税の減収を埋める策もない。その意味で環境税に置き換えるというのは納得出来る筋の通った議論だが、選挙前の民主党マニフェストには新税導入には全く触れていないので、欺瞞と言われても仕方が無い。いや、事実新税導入をしなければ地方財政にも甚大な影響が及ぶので、暫定廃止なら新税導入は避けて通れないのは初めから分かっていたことで、これは民主党の確信に基づく国民に対する欺瞞であった。しかし、当然のことながら民主党はこの関連は口が裂けても認める訳には行かないので、マニフェストは実行するの一点張りである。現実には燃料の消費抑制と税源確保の為のエコ税導入は必要、しかし問題は別物なので公約通り来年4月の暫定税率廃止を先ず実現する、暫定税率廃止と環境税導入は同じ土俵の話ではない、と未だ往生際悪く言っている。郵政社長人事に対する渡邊喜美ではないが、ここははっきり置き換えますと謝ったらどうだろう。民主党の選挙前のマニフェストは票集めには成功したのだから、これ以上面子に拘って赤字国債の大幅増発までして守る事もなかろう。大体、もう相当馬脚が現れて来ている。
 日本国民は一般にお人好しであるから、国内は未だ問題の先延ばしと、訳の分からない答弁で当分は騙し続けられるであろう。自身の献金問題でものらりくらりの答弁である。小沢一郎献金問題で党首の座が転がり込んで来たのも、思えばどちらが先かだけの単なる幸運であったのか。更に当面の政敵が、衆院選挙の大敗をどう反省し如何に再生するかがまるで見えない自民党だけに、未だ気楽なこともあろう。しかし、普天間基地問題は相手が米国であるだけに、鳩山首相の優柔不断の時間稼ぎには限度がある。八方美人の首相がどう落とし処を見付けるのか。政治家としてのキャリアーは充分分かるが、本来最も求められている首相のリーダーシップの真価が問われる処である。米国大統領来日まで、もう秒読みに入っている。