baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 オバマ大統領来日

 オバマ大統領が当初予定から1日遅れで昨夕来日し、早速日米首脳会談が行われた。表向きは日米の友好関係を確認し成功裏に終わったように報道されているが、これ程中身のない首脳会談は前代未聞ではなかろうか。
 懸案については一切具体的な議論がなされなかったようである。アメリカ側はこれ以上押しても具体的に回答が出来ない現政権の性格を見抜き、敢えて押さなかったのは明白である。外交では一方的に喧嘩を仕掛けるのは余程の事がない限りあり得ない話で、表向きは外交辞令で美辞麗句を並べるが、相手を見切ればそれなりの対応しかしない。外交は所詮は利己主義のぶつかり合いなのである。今後のアメリカの対日政策は注意して見守る必要がある。徐々に日本に距離を置くかも知れない。それ以上に、先日もこのブログに書いたが、今回のオバマ大統領の韓国、特に中国訪問時の首脳会談の内容と昨日の内容の比較は日本国民にとって極めて重要であると思う。外交辞令とは裏腹に、アメリカにとっての日本の重要性が実質的に下がった事が明らかになるかも知れない。
 由紀夫、バラック、と呼び合う事がより自然になったなどと言うレベルの事で本当に舞い上がっているのか、国民を敢えて騙しているのかは知らないが、いくら外交音痴の鳩山民主党首でもそこまで馬鹿ではないと思いたい。しかしこの程度の事を記者会見で発表するしかない程中身のない会談であった訳だ。
 とにかく具体的な話が一切出なかった事が情けない。普天間基地問題にしても日本側の態勢が未だ整っていない事をアメリカ側が慮って議題にしなかったのは明白であるが、ここまでお膳立てをした外務官僚の必死の努力も気の毒ながら、鳩山政権の実力が見切られた事は疑う余地はない。民主政権が幾ら時間稼ぎをしても、10年間に亘り両国の政府レベルで議論を続けた結果として出した結論が、政権が代わっただけで振り出しに戻るなどあり得ない事である。元はと言えば出来ない事を選挙公約に掲げて票を集めた民主党の、確信犯的な欺瞞のツケなので当初から覚悟していた筈の難題ではある。
 アフガニスタンへの援助も同様である。血を流しているアメリカを筆頭とする参戦国から見れば、兵員を派遣せず流血のリスクを取らない日本は常に卑怯な国である。アフガニスタンでは初めて兵員派遣を、タリバンの手の届かない海上給油という絶妙のアイディアで実現し、且つ費用も実は大した事もなかったのに、自民党時代の政策、と算盤も弾かずに頭から否定して国民に大幅な、実に5倍もの、負担を強いながら外国にはそれ程評価されない愚かな決断である。アメリカを筆頭に諸外国にすれば内心はまたまた卑怯な日本に立ち戻ってしまい不愉快でも、これ以上の要求をしても現政権では対応する術がないのが分かっているからオバマ大統領も外交辞令で謝意を表明したに過ぎない。何もしないよりは5億ドルでも出して貰った方が良いに決まっている。しかし、5億ドルもの大金がタリバンや、腐敗の著しい現地の有力者の懐に流れないという事を、人も派遣せずに誰が担保するのか。実は日本の納税者に対して無責任極まりない話なのである。しかも、欧米は基本的に兵員の派遣がなければ内心は評価は半減以下である。正に湾岸戦争の轍をまた踏むのである。
 日米首脳会談の合意事項である日米同盟の深化、発展、とは一体何なのか。鳩山総理お箱の、原則に反対する理由は何もない金言だが、具体策が全く伴わないお題目である。日本はアメリカとの安保条約がなければ己の身の安全も守れない国である。それが悪いと言うのではなく、そういう体制で戦後60年を低コストでやって来たのである。自分で己を守ろうとすれば、恐らくその何十倍ものコストが掛り、且つ今ほどの経済発展は無理な上に周辺国との軋轢は靖国問題などの比ではなかったであったろう。アメリカの傘の下で上手く立ち回ったのである。従い日米同盟抜きに日本の繁栄はあり得ない。そんな事は日本以上にアメリカが分かっている。それでも、アジア、特に東アジアの安定の為に地政学的に重要な地にある同盟国の日本が当面は無視できないだけである。
 どうも鳩山総理には、脱官僚と言う民主党の政策も災いしているのかも知れないが、外交ブレインが不足しているように思う。オバマ大統領とてそれほど外交の知見があるとは思えないが、現実はスマートである。鳩山総理との差はブレインであると思われる。外交音痴の民主政権には、今何よりも外交面で求められるのは優秀なブレインの採用であると、今回の日米首脳会談で改めて確信した次第である。その上で、一日も早く、遅くとも年内には、先ず普天間問題に決着を付けないと本当にアメリカに袖にされてしまう。