baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 普天間基地問題の年内決着と為替の安定化

 昨日、岡田外相が米太平洋軍総司令官と会談し、普天間基地問題の年内決着に向け改めて決意を表明したそうである。この問題については外相と防衛相が現実的に年内決着を目指しているが未だ孤軍奮闘の趣は消えておらず、鳩山総理を筆頭に他の首脳は相変わらずのらりくらりとマニフェストに拘っている。出来ない事を掲げたマニフェストを公約にした時点で既に誤ったのであるが、未だに自分の誤りを正す事を潔しとしていないようだ。そのくせ、官僚の天下り反対のマニフェスト公約は何時の間にやら曖昧になった。やろうと思う事は出来るではないか。
 沖縄知事選、名護市長選が来年行われると名護市への移転すら難しくなりかねず、その後は益々問題が袋小路に追い込まれる。米国でも海兵隊員8000人のグァム島移転に伴なう予算が来年度予算から削られるかも知れない。そこまで逆戻りさせてしまうと、最早普天間基地の移設自体が振り出しに戻ってしまう。具体的な代案もないまま県外、国外、などと相手のある事を一方的に唱えても全くの時間の無駄である。代案がないのだから最早徒に時間を浪費することなく、潔く年内に決着を付けるべきである。今月は自身の偽装献金問題への追及から逃れる為に総理には外遊の予定が目白押しと聞く。急がないと本当に時間切れになってしまう。
 何故普天間基地を移転する必要があるかというと、普天間は米軍が終戦直前に沖縄に上陸した時に焼け野原に本土進攻に備えて応急的に作った飛行場で、言って見れば戦時飛行場であって恒久的な配慮はなされていない。そして終戦後の混乱の中で地元の住民が飛行場の周囲に密集して住み着いてしまった。この現状に対し日米共に、飛行場としての安全基準を満たしていない極めて危険な飛行場と言う認識で一致し、移設に合意したのである。現に数年前には近くの大学キャンパスに米軍ヘリが墜落した。飛行場周辺に緩衝地帯が全くないのである。万が一にも、米軍機が近隣の住宅密集地に墜落して大惨事でも引き起こしたら、時間稼ぎに明け暮れる民主党政権は責任を取り切れまい。
 円がここに来て急激に上昇している。流石の民主政権も多少はその負のインパクトに気付いたようであるが、その対応は如何にも後手々々で素人臭く頼りない。しかも、現政権には未だその本質が本当の意味で理解されているとは思えない。本質は鳩山政権をして普天間基地問題の早期解決に踏み切らせる為の米国の策略だという声が既にあちらこちらで上がっているが、僕はその穿った見方が大いに的を射ていると思う。更に言えば、東アジア共同体構想にアメリカも同列で参加させることだ。
 為替は砲火を伴わない戦争たり得る。民間が戦に乗じて莫大な利益を得るのも戦争と同じである。日本が「対等と言う劣等感の裏返し」で米国と距離を置き、総理は米国の立場を明確にしないまま東アジア共同体構想を機会のある度に近隣諸国に説き回り、普天間基地問題のような政府間の約束事まで白紙還元しようとしているので、米国は円高を演出して日本にその立場を思い知らせようとしていると言うのだ。
 事実、円高は日本の泣き所である。資源を持たない日本は、食料も含め殆どの素材は輸入に頼っている。従い、内需拡大とは言いながらも、物凄く単純に言えば工業製品を輸出して外貨を稼ぐ必要がある。勿論昨今はいろいろと複雑なカラクリになっているからそう単純ではないが、簡単に言えばそういう事である。だから円高になり日本製の製品の競争力が落ちれば日本経済は即失速する。現在の円高は陰でアメリカが仕掛けているという見方は、現在の日米関係を見渡せば充分あり得る見方である。米ドルが弱いのではなく、円の独歩高である事も傍証と言える。
 日本にも優秀な情報のプロ、外交のプロは居る筈である。政治主導の良い処もあるけれど、国政、特に外交にはズブの素人の現政権は難しい事は謙虚にプロの言葉に耳を傾け、一刻も早く対米関係の軌道を修正し為替を適正水準に戻す事が急務である。失政は容易だが、一度誤るとそのツケは10年単位で尾を引く。今の対外政策では国内の産業は益々海外に脱出し、国内の失業率は増加し、内需拡大が益々遠のくであろう。