baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 2010年度予算案

 2010年度の予算案がやっと閣議決定された。年末ぎりぎりでハラハラさせてくれたが、それも小沢幹事長大名旅行や、鳩山首相の誰にも相手にされない寂しい国際会議出席などで政府案が中々固まらず、その上民主党からの重点要望が出されたの対しまた鳩山首相の迷走が始まったりでさらに遅れてしまった。しかも首相の偽装献金問題と幹事長の支援団体の政治資金規正法違反を抱えて、これからの国会審議である。出口の見えないトンネルに入った感のある政局運営で、聞こえるのは民主党議員の空々しい鬨の声ばかりである。
 予算案の中身は、危惧していた通りのバラマキは見直されておらず、他方喫緊の具体的な経済活性化の道は示されていない。公共工事も大幅に削減されてしまった。公共工事の善悪はいろいろ議論もあろうが、少なくとも雇用創出や経済の活性化には間違いなく即効性がある。米国の経済が底入れかと言われているのもオバマ政権が公共工事に相当の予算を投入しているからだそうだ。そして衆院選前には公然と嘯いていた歳出見直しによる財源捻出も見事に空振りに終わってしまい、歳入の裏付けなき史上最大の予算案である。事業仕分けも3兆円の目標に対し6800億円しか捻出できなかった。それも相当の無理を重ねてである。民主党事業仕分けで2兆円出てきたと言っているが、真っ赤な大嘘である。1兆4000億円は埋蔵金を拠出させただけで、しかも全部が全部要らない金だったとは限らない。
 民主政権は家庭単位で子供手当、教育費無償化、農家の個別保証、などを支給して内需を少しでも刺激しようとの理屈らしい。けれども日本のように資源に乏しく且つ自給自足も出来ない国は地面を掘れば金になる国とは違い、企業がしっかり輸出や海外投資をして外貨を稼がなければ経済が回って行かないのである。幾ら戸別に多少の資金を投入しても給料が増える訳でも失業率が減る訳でもない。そして、その資金も企業や個人の税金に頼っているのだから、民主党の理屈は本末転倒も甚だしい訳である。豊かな国を作るためには、先ず経済を活性化させ、その結果として国家、企業、個人、それぞれの歳入が増えて初めて失業率は減り内需は拡大する。国家にとっては税収、企業にとっては利益、個人にとっては収入の増である。
 税収を増やす為には企業に国際競争力を付け、先ず企業に儲けて貰いそれを従業員に還元するなり新たな雇用に繋げて貰って、税収入の総額を増やす必要がある。税収入が増えたら減税でも、あるいは新しい手当てでも歳入のなかで国民が納得する形で振り分ければ良い。幸い日本の大手企業には個人保有の企業はないから、大手企業が儲かる分には特定の個人が儲ける事はなく、少なくとも従業員や一般株主という多数の個人が恩恵に浴する事が出来るので極めて公平であると言える。そして個人の収入が増え将来の経済見通しも明るければ、自然と財布の口も緩みサービス業も含め国全体にお金が回りだし就業機会も増えるというものだ。
 むしろ民主党国民新党がしゃにむに梃入れしている中小企業には個人事業主が多いから、余り政府が肩入れすると一部の中小企業では個人事業主がボロ儲けする事になる。大体日本で高額商品を現金で買って行くのは医者、弁護士、坊主、中小企業主、パチンコ屋と相場が決まっている。勿論皆が皆ボロ儲けしている訳ではないが、マネーロンダリングが必要な人のいる業種という意味だ。
 企業の利益を増やす為には、何はともあれ法人税の引き下げが先決であろう。一見税収を増やす事とは矛盾しているが、世界でも最高水準の法人税率を課せられて日本の企業は益々国際競争力を削がれている。海外の投資家にも日本への投資意欲を減退させている。また派遣社員採用に対する規制緩和も必要である。派遣社員に正規社員への道を開くのは良いが、派遣社員採用を厳しくしてしまうと逆に派遣社員の就業の機会も閉ざしてしまう。以前は少なくとも季節労働は出来た人たちが今は全く就業できなくなっていると聞く。企業にとっては雇用に弾力性を保つ事は必要で、余りそれを規制し過ぎればそれも国際競争力の低下に繋がる。
 何れにしても、今回の来年度予算案は相も変わらぬ民主党参院選本位主義が明白で、長期的な国家運営のビジョンが全く見えないだけでなく当面の最大の課題である経済の底入れの具体策も見えない。一言で言えば無責任極まりない。与党が寄って集って国家の借金で票を買い集めている。それで子供のいる家庭、一部の農家の人気は買えるだろうが、大幅な歳入不足もあり、結局はこのやり方は今の子供たちに莫大な借金を残すだけではなかろうか。それだけに、今の子供たちの将来の負担を少しでも減らす為に、上の議論とは別に、もはやマニフェストに拘る事なく早く消費税増税の議論も始めなければなるまい。勿論僕も増税は嫌だし困る。だからと言って何時までもタレ流しのまま今の子供たちにツケを回す訳には行くまい。与党には目先の票を買い集める事よりも、日本の将来を真剣に見据えて欲しい物である。